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» 2016年01月29日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:一円電車から6400キロ超えの弾丸ツアーまで 「鉄旅オブザイヤー2015」をおさらい (1/4)

旅行会社による鉄道系企画旅行を品評する「鉄旅オブザイヤー」の表彰式が開催された。受賞作品、ノミネート作品から、旅行会社が取り組む市場が見えてきた。それは鉄道、旅に限らず、趣味性の市場に共通のキーワードかもしれない。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


「鉄旅オブザイヤー2015」の受賞者の皆さんと、司会のダーリンハニー・吉川正洋さん、女子鉄アナウンサー・久野知美さん、鉄道大好きマネージャー・南田裕介さん 「鉄旅オブザイヤー2015」の受賞者の皆さんと、司会のダーリンハニー・吉川正洋さん、女子鉄アナウンサー・久野知美さん、鉄道大好きマネージャー・南田裕介さん

2015年は「ファミリー向け」がグランプリ

 旅行会社の企画担当といえば「旅のプロフェッショナル」。それに対して鉄道ライターの私はさしずめ「ちょっとレベルが高いアマチュア」にすぎない。アマチュアがプロの仕事を採点するなんて、とてもおこがましいと思いつつ、「鉄旅オブザイヤー」の審査員を拝命している。工夫を凝らした旅行企画は見るだけでも楽しく、参加したら……という想像も楽しい。また、実績や参加者の声から、鉄道業界、旅行業界の事情も透けて見えて勉強になる。

 鉄旅オブザイヤーは、旅行会社が催行した企画旅行のうち、鉄道をテーマとした「作品」を表彰する。目的は鉄道旅行および国内旅行のプロモーションを盛り上げるためだ。2011年度から開催され、今回の「鉄旅オブザイヤー2015」で5年目となった。私の審査員参加は2013年度からで、今回が3回目だ。

鉄旅オブザイヤーは鉄道旅の啓蒙と発信に貢献する目的で創設された 鉄旅オブザイヤーは鉄道旅の啓蒙と発信に貢献する目的で創設された

 毎年、旅行会社各社が自慢の「鉄旅」を出品する。審査する立場も気合いが入る。今年は17の旅行会社から103作品が応募された。過去最高とのことだ。鉄道旅行人気の盛り上がりを感じるし、鉄旅オブザイヤーの存在が後押しをしているとしたら嬉しい限りである。

審査員の評価ポイント。「鉄道力」と「非鉄吸引力」の両立が難しく、満点を出しにくい 審査員の評価ポイント。「鉄道力」と「非鉄吸引力」の両立が難しく、満点を出しにくい
審査員には芸能界、学会、メディア関係者の鉄道好きがそろっている 審査員には芸能界、学会、メディア関係者の鉄道好きがそろっている

 受賞作品を簡単に紹介しよう。グランプリ作品は『JTB旅いく 親子・三世代で行く! 鉄道体験! 〜旅の魅力の原点である「鉄道の旅」を楽しもう〜』だ。「旅いく」は「行く」と「育」をかけているようで、お子さまに職業や自然との触れ合いなどを体験してもらうツアーがある。学校や家庭ではできない体験が好評のようだ。このうち運転士、車掌、駅員などの鉄道職を体験する企画も人気で、2015年は13の鉄道会社で開催された。

 実施に当たっては鉄道会社の協力が不可欠だ。その点も旅行会社がノウハウを提供して運営ガイドラインを提供するという。参加した子どもたちが「大きくなったらこの鉄道会社で働きたい」と宣言し、鉄道職員が感動で涙するという場面もあったという。JTBによると、「子どもたちに将来の夢を、家族にかけがえのない時間を、鉄道会社に元気を、地域にお金を」というスローガンがあるそうだ。旅の成功を関係者全員が享受できる。素晴らしい。

「JTB旅いく」が2015年に実施したツアー 「JTB旅いく」が2015年に実施したツアー
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