正面からぶつかっても勝てない――“王者”セブン-イレブンとの競争戦略すごい差別化戦略(4/5 ページ)

» 2016年02月26日 06時00分 公開
[大崎孝徳日本実業出版社]

NB(ナショナルブランド)と「ベストプライス」の充実

 調査を通じて、セブンのPB(プライベートブランド)である「セブンプレミアム」についても、消費者の評価は圧倒的に高いことが分かりました。

 しかし、店舗数の差を考えると、ミニ・ストップがセブンと同規模の商品開発体制を構築することは難しい状況であり、現在はイオンのPBである「トップバリュ」がミニ・ストップで販売されています。

 トップバリュは、基本的に主な販路であるスーパーマーケットの消費者を念頭に開発されており、コンビニの消費者も意識した路線に変更すると「二兎を追う者は一兎をも得ず」となる可能性もあることから、得策とは思えません。

 こうした状況を踏まえ、「近年、注目されることが多いPBではなく、逆にNBを充実させるのはどうか」という提案です。セブンをはじめ、コンビニ各社がPBに注力しているからこそ、「あえて逆を行く」差別化策です。

 イオンの影響力を利用すれば、NBメーカーに対して、ほかのコンビニより有利な条件で取引や協力を得ることが可能になるかもしれません。これは、PBが順調なセブンは決して採用しない施策と言えます。

 さらに併せて、トップバリュのなかでも低価格路線の「ベストプライス」を中心に品ぞろえするという提案もありました。これは通常、NBはPBより高価格になるため、NBに注力するという今回の差別化策ではカバーできなくなる低価格志向の消費者に向けた補完的な施策というわけです。

 日本の流通業界において、イオンより「規模の経済」で勝るグループは存在しません。よって、ベストプライスより低価格のPBを取りそろえることは、ほかのコンビニにとっては極めて困難であり、ミニ・ストップの強みとなるはずです。

(出典:トップバリュ公式サイト)

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