高崎: それがよく分からなかったですよ(苦笑)。価格を下げて、機能面を向上させて、商品名を変えて、パッケージデザインを変えて、ホームセンターにも販路を広げました。やったことはこのくらい。それなのに、わずか1年で100倍以上も売れました。
その後も、ネジザウルスは順調に売れていきました。2004年までの3年間で、約16万丁も売れて、2005年には大きいネジにも対応した2代目を発売しました。翌2006年には、小さいネジ用として3代目を投入しました。いずれも初代の販売数には及びませんでしたが、2008年、シリーズ累計販売数は42万丁を超えました。
土肥: “3兄弟”は親孝行ですね。
高崎: ネジザウルスを発売した2002年の年商は7億2000万円でしたが、2007年は8億7000万円に。このまま成長していくんだ……と信じていたのですが、状況は大きく変わったんですよ。
土肥: 何があったのですか?
高崎: リーマンショックです。不景気の影響を受け、2008年度の営業損失は2000万円ほど……。赤字に転落してしまいました。でも、そのまま指をくわえて見ているだけではいけません。「黒字にするには、やはり売り上げを伸ばすしかない」と考え、ネジザウルスの4代目を発売することにしました。
土肥: え、またですか。
高崎: 当時、ドイさんのような声が多かったんですよ。「ネジザウルスは、もういらない」といった声が。初代モデルを発売してから、すでに6年が経っていました。42万丁も売れていたので、多くの人は「もういらないよ」と感じられたかもしれません。でも、私は「まだいける。飽和状態ではない」と思ったんですよね。
「まだいける」と思ったのは何か根拠があったわけではなかったので、内心ものすごく不安でした。その不安を解消するために、お客さんの声を聞くことにしました。ネジザウルスを利用している人に「困っていること」を聞いたところ、1000人から回答がありました。1位は「グリップを握りやすくしてほしい」(120人)、2位は「先端を細くしてほしい」(50人)、以下「バネをつけてほしい」(20人)、「カッターをつけてほしい」(15人)、「トラスネジをはずせるようにしてほしい」(7人)という結果でした。
土肥: ふむふむ。
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