「震災時、コンビニの営業は難しい」これだけの裏事情コンビニ探偵! 調査報告書(5/5 ページ)

» 2016年04月26日 08時08分 公開
[川乃もりやITmedia]
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店の再開は誰の意思か

 熊本地震が発生してから、5日後に大手チェーンの97%の店舗は営業を再開した。このニュースを聞いて、「オーナーの意思で店を開いたのか?」という疑問を感じた。

 震災直後、店を開けるか開けないかという問題は、店が判断しなければいけない。しかし、24時間365日オープンしているコンビニにとって、「店を閉める」という作業が大きな障壁になるのだ。どういうことか。コンビニは店を閉めることを想定して、建物を設計していない。

 営業時間が朝7時〜夜11時の時代は、店の入口にシャッターを付けていたが、いまの店にはない。というわけで、入口にあるカギひとつで店を閉めなければいけないのだ。多くの店は店内にATMを設置しているのに、入口のカギひとつだけで防犯上問題はないのか。問題がある。つまり、コンビニ業界は“緊急時に店を閉める”という対応に慣れていないのである。

 4月14日、大きな揺れがあったあとに、商店街の様子を伝える報道があった。看板が倒れたり、窓ガラスが割れたり、店内の商品が崩れたりしているので、ほとんどの店は閉店していた。しかし、あるコンビニは電気をともして営業を続けていたのだ。どういった理由でその店は営業をしていたのか分からないが、ひょっとしたら防犯上“閉めたくても閉めることができない”といった事情があったのかもしれない。

 とある情報番組で、シンクタンクでトップを務めていらっしゃる方がこのようなことを言っていた。「震災を繰り返すたびに、コンビニの再開スピードが速くなっている。コンビニはインフラとしてもはや欠かせない存在になっているし、いち早く再開することはとてもいいことだ」と。

 筆者も早く再開できることはいいことだと思っているが、「店を開けたら開けたでトラブルが続出」「本当は閉めたいのに、閉めることができない」といった事情があることも忘れてはいけない。

著者プロフィール・川乃もりや:

 元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿


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