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» 2016年05月18日 08時00分 UPDATE

ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略:告白方法もアドバイス 成婚率5割を超える婚活サービスが急成長しているわけ (1/6)

2000年に日本初のインターネット結婚情報サービスを開始したのを皮切りに、現在では包括的な婚活支援サービスを提供しているIBJ。会員の成婚率は5割超えという、業界でも高い数字を誇っている。そんな同社の取り組みを石坂社長に聞いた。

[伏見学,ITmedia]

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 「結婚したいけどできない」「交際相手はいるが、このまま結婚していいのか不安だ」「特に結婚する気はなく、自由に旅行したり、欲しいものを買ったりと悠々自適に暮らしたい」――。

 わが国の未婚率が男女ともに上昇を続けている。厚生労働省によると、2010年の生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚をしたことのない人の割合)は、男性が20.1%、女性が10.1%。2035年にはそれぞれ29.0%、19.2%にまで増える見通しである。少子化が問題視される中、今や未婚化も大きな社会問題となっている。

生涯未婚率の推移(出典:厚生労働省) 生涯未婚率の推移(出典:厚生労働省)

 冒頭にあるように未婚の理由はさまざまだ。結婚願望がない人にいくら言ってもなかなか重い腰を上げることは難しいだろう。一方で、結婚したい人、出会いを求めている人に対しては、さまざまな機会を提供してあげることで、少しでも未婚化を食い止めることができるかもしれない。

 そうした男女に向けて、結婚カウンセリングや合コンイベント、お見合いパーティーなどの婚活支援サービスを提供し、業績を伸ばしているのがIBJだ。2015年12月期の売上高(単体)は前年比24.3%増の41億2300万円、営業利益は同31.1%増の8億4300万円。今期は売上高が同18.4%増の48億8300万円、営業利益は同18.6%増の10億円を見込む。

 2016年4月現在の婚活会員数は46万1000人。成婚率は専任カウンセラーを付けるサービスにおいて5割を超える高さだ。

 婚活業界のリーディングカンパニーとしてのユニークな競争戦略が評価され、同社は一橋大学大学院 国際企業戦略研究科(一橋ICS)が主催する2015年度「ポーター賞」を受賞した。なぜIBJは顧客の支持を集めているのか。一橋ICSの大薗恵美教授が、同社の石坂茂社長に聞いた(以下、敬称略)。

きちんとした結婚情報サービスをやれば勝てる

大薗: 2000年に日本初のインターネット結婚情報サービス「ブライダルネット」を立ち上げました。どういった経緯でこの婚活事業を着想したのでしょうか?

IBJの石坂茂社長 IBJの石坂茂社長

石坂: 当時、それまで勤めていた銀行を辞め、インターネットを活用したビジネスでの起業を考えていました。在庫を抱えたり、仕入れがあったりする事業はやりたくなくて、スモールスタートするには情報課金のビジネスモデルが最適だと思ったわけです。

 不動産や人材のビジネスも情報課金モデルですけど、あまりにもマーケットが大きすぎて競合が数多くいるところよりは、ニッチなところでナンバーワンを目指そうと思いました。たまたまブライダルネットという出会い系掲示板を運営している方からサイトを譲り受けたので、それをきちんとした形の総合結婚サービスにしようと事業をスタートしました。

大薗: 当時の結婚情報サービス業界の状況はどうだったのでしょうか?

石坂: そのころリアル店舗を運営する結婚情報サービスは、顧客単価が高く、60〜70万円が相場でしたが、その割に成婚率は高くありませんでした。そこで価格を10分の1くらいにして、インターネット完結型のサービスをきちんと運営することで、既存のサービスを凌駕できるのではと思いました。

 また、マーケットにはまだ潜在顧客がたくさんいると感じていました。これまで結婚相談所に行くのは、異性にもてない人や交際が難しい人だと思われていましたが、一見するとそうではない人も出会いイベントに来たり、ネット上で交流したりしていたからです。たとえネットサービスであっても相対的な信頼感を築くことができれば、大きなマーケットは作れるはずだと考えました。

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