なぜコンビニは、「ミスドの客」をたくさん奪うことができないのかコンビニ探偵! 調査報告書(3/4 ページ)

» 2016年07月19日 10時15分 公開
[川乃もりやITmedia]

「菓子パン」の域を出ないコンビニドーナツ

 コンビニの参入により、日本のドーナツ市場は大きく様変わりした。メディアは「ドーナツ戦争勃発 コンビニ VS. ミスド」といった形で対立構造をつくり出していたが、いまのところどちらにも軍配は上がっていないようだ。

 事実、ミスド全1269店(2016年3月末現在)に、大手コンビニ3社の計4万2991店(2016年5月末現在)が束になってかかっても、10%しか売り上げを奪えなかった。この数字から何を読み取ればいいのか。ターゲットが完全に住み分けられていて、生半可な攻勢では専門店にはかなわないということだ。ケンタッキーフライドチキンの事例を鑑みても、店内製造ではないコンビニドーナツは、ドーナツというよりは「菓子パン」の域を出ていないのだ。

 一方、「本格」をウリにしたコンビニコーヒーは大きく躍進した。セブンは、2016年2月末に累計20億杯を突破したと発表。その時点で、セブンの店舗数は1万8572店。単純計算すると、1店舗当たり1日100杯は売っていることになる。伸び率から見て、現在では100杯を超えているだろう。

 残念なことに、コンビニドーナツにはこの「本格」がない。ミスドとコンビニの「本格」と「本格じゃない」の住み分けが進むと、コンビニにとっては分が悪くなってくる。

 分が悪くなるとはどういうことか。次のページで詳しく説明しよう。

左:ミスドのチョコファッション、右:セブンのチョコオールドファッション

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