上司から頼まれた仕事であれ、取引先からお願いされた仕事であれ、「どうして、やり直し、差し戻しになってしまうのか」と嘆く声がよく聞こえてくる。そのために重要な準備段階での「結果を出す"下ごしらえ"」について、たくさんの取材経験から考えてみる連載第2回。
第1回では、その仕事の「目的」をしっかり聞けているか、という最初のステップを書き記したが、次のステップのキーワードは「ターゲット」だ。それは、誰のために行われる仕事なのか、ということである。仕事の相手を意識することだ。
そんなことは当たり前のことじゃないか、いったい何のことなのか、と思われるかもしれない。仕事はそもそも発注者から出てくる。だから、発注者こそが、仕事のターゲットではないか、と思える。ところが、必ずしもそうではないのである。
発注者から仕事が出ているからといって、発注者が仕事の対象ではないケースがあるのだ。このターゲットの意識が、仕事の結果に大きく影響する。
最も分かりやすいのは、こんなケースだろう。上司からグラフ作成と解説の仕事を頼まれた。書き上げてみると、やり直しを命じられてしまった。
理由は、ターゲットのずれ。てっきり上司に向けた書類なのかと思ったら。取引先向けの資料だった。しかも、初めて取引を始めようとしている新規顧客。もっと丁寧に解説をしてくれないと、これではまるで相手に伝わらないじゃないか、というわけである。
一口に資料を作る、といっても、「誰が」読むのかによって内容や作り方、書き方は変わってこないといけない。それこそ、自分の会社のことについてよく知っている人に向けて何かを発信するのと、まったくよく分かっていない人に向けて発信するのとでは、違ってくる。
自分の会社のことをよく知らない人に、分かっているつもりで書いてしまったら、まったく伝わらない。誰が読むのか、というターゲットは、極めて重要になるのだ。
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