4年で1億台以上も消滅! 凋落するPC市場に未来はあるのか?(1/4 ページ)

» 2016年07月28日 06時30分 公開
[大河原克行ITmedia]

 メーカー各社が新型PCを発売すると、仕事帰りのサラリーマンなどが夕方の量販店に足を運び、機能を吟味したり、店員と値段交渉に臨んだりした。そうした光景はもはや過去のもの。今ではPCマニアくらいしか熱心に売り場へ通わないのが実態ではないだろうか。

 そんな状況だから、当然、PC市場の縮小は止まらない。

PCが売れない時代がやって来た(写真はヨドバシカメラの売り場) PCが売れない時代がやって来た(写真はヨドバシカメラの売り場)

 IT調査会社の米ガートナーが発表した2016年のPC出荷台数予測(世界)は2億3200万台。2015年に比べると約5000万台の減少。そして、2012年の3億4300万台に比べると32%減と、約3分の2の規模にまで落ち込むことになる。わずか4年で1億台以上も目減りした計算だ。

 販売金額では、2012年の2190億ドルに比べて、45%減となる1220億ドルと、半分近くまで縮小。低価格向けの製品へと売れ筋がシフトしていることを示す結果となり、PCメーカーにとっては収益確保が厳しい状況であることがうかがい知れる。

 市場低迷の理由は、先進国市場での需要が頭打ちになったのに加えて、新興国の景気低迷などが原因と見られる。

 また、2015年7月に登場した米マイクロソフトのOS「Windows 10」は、2016年7月29日までの期間、Windows 7およびWindows 8.1のユーザーを対象に無償アップグレードを提供。これまでに約3億5000万台のデバイスで使用されており、そのほとんどが無償アップグレードによるものと見られている。最新OSの登場が新たなPCの出荷には貢献していないことも影響しているはずだ。

 実際、2016年第1四半期(2016年1月〜3月)の売り上げの落ち込みは激しい状況となっている。ガートナーによると、第1四半期における全世界のPC販売台数は前年同期比9.6%減。IDCでは、11.5%減と2ケタ減の実績となっている。そして、ガートナーが発表した2016年第2四半期(4月〜6月)も、前年同期比5.2%減の6430万台となり、7四半期連続で前年実績を下回った。

 一方、IDCは、2016年のPC市場は、前年比7.3%減の2億5560万台になると予測し、ガートナーよりも強気の見通しを出している。そして、2in1パソコンを含めると前年比2%減にとどまるとする。これには、いくつかの明るい材料があるためだ。

 1つは、企業のIT投資意欲が引き続き旺盛であるという点。さらに、Windows 10の無償アップグレードが7月29日に終了し、今後は、Windows 10を搭載したPCの販売に弾みがつくと予想される点などがある。

 IDCでは、2020年の市場規模を2億4950万台と予測。5年間の市場平均成長率をマイナス0.5%と、ほぼ横ばいで推移すると見ている。先進国では2.1%減になると見ているが、市場の約55%を占める新興国市場における年平均成長率を0.9%増と予測する。特に新興国におけるノートPCの成長は2.0%増の成長を見込んでいる。

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