24時間365日、いまも世界のどこかでユニークで刺激的な話題や新しいトレンドが次々と生まれている。だが、大半は情報としてこぼれてしまっている。そんなメインストリームでない情報こそ、ビジネスで使えるネタが詰まっているのではないだろうか。
そこで、情報感度の高いビジネスパーソンならば、ぜひとも押さえておきたいトレンドや話題をちょっと先取りして紹介したい。プライベートにビジネスに、ちょっとしたインスピレーションのネタとして、役立つハナシを探るコラム。
英国史上2人目の女性首相となるテリーザ・メイ、女性初の東京都知事に就任した小池百合子、イタリアの首都ローマで初の女性市長になったビルジニア・ラッジなど、いま世界中で女性政治家の活躍がめざましい。
イタリアのトリノでも、2016年6月に新しい女性市長が誕生している。若干32歳のキアラ・アペンディーノだ。
そしていま、アペンディーノ市長が掲げているマニフェストが、イタリアで大きな話題になっている。
そのマニフェストとは、トリノ市全体を「ベジタリアン・シティ」にするという、かなりチャレンジングな提案だ。「美食の国」イタリアにあって、まさにケンカを売るようなマニフェストなのだが、その提案の背景には意外な事実があるようだ。
イタリア料理といえば、地方の郷土料理が融合したもので、肉は欠かせない。トリノでは、仔羊の肉にツナソースがかかった、vitello tonnto(ヴィテッロ・トンナート)やピエモンテ風肉詰めラビオリのAgnolotti alla piemontese(アニョロッティ・アッラ・ピエモンテーゼ)などが名物料理だ。
市のベジタリアン化を推進すれば、伝統ある食文化に危機を及ぼすことになるのは間違いない。多くの市民が心配するのも無理はないだろう。
そんな文化を尊重せずに、マニフェストを進める理由はいったい何なのか。アペンディーノ市長によると、ベジタリアン化の理由は、地元の伝統的なイタリア料理店や産業を潰そうとしているわけではなく、環境問題にある。
環境問題と言われてもピンとこないが、肉の消費量を減らすこととどんな関係があるのか。実は、食肉を生産するためには、家畜などで大量の餌や水、土地やエネルギーなどが必要になる。肉の消費量を控えることで、効率よく二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすことができるのだ。言うまでもなく、CO2は地球温暖化の原因のひとつとされている。
つまり、温暖化対策のために市が先導して菜食主義に移行しようとしているのである。
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