シェイクシャックは日本で「第二のスタバ」になれるのか?消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(2/4 ページ)

» 2016年08月31日 06時30分 公開
[村田多恵子ITmedia]

 第1に、ホルモン剤や抗生物質をいっさい使わずに育てた牛の肉を使用したパテや、トランス脂肪酸を使わないフライドポテトなど、“食の安全”へのこだわりだ。第2に、原料の安全にこだわったハンバーガーが680円という、“ちょこっとプレミアム価格”である。日本におけるグルメバーガーの老舗「ホームワークス」の中心価格が1250円前後であることと比べると約半分、「モスバーガー」の約2倍という価格帯で勝負する。ちょっと高いことが逆に品質のシグナルとなっている。グルメバーガーではなく、プレミアムファストフードである。

「シャックバーガー」 「シャックバーガー」

 第3に、“地域密着対応”であることだ。立地に応じて店舗デザインや空間を変えるだけでなく、個店ごとに独自メニューを提供している。例えば、「コンクリート」というアイスは日本限定だが、個店別にラインアップが異なる。恵比寿店では「E-bean-su(エビーンス)」、外苑前店では渋谷のBean to Bar Chocolate専門店「Minimal」のココアニブを使った「The Tokyo Edition」や、「ドミニクアンセルベーカリー」特製のミルクチョコレートポップコーンブラウニーが入った「Shack Attack」などが限定メニューとして提供されている。

 こうした個店の独自性追求の背景には、ランディ・ガルッティCEOの「大きくなるほど小さく行動する」というこだわりがある。ロンドンでは地元の農家とソーセージを共同開発し、その店の限定メニューとして提供しているという。スケールメリットよりも地域の嗜好性にあったメニューを大切にしている点が差別性の源泉と考えられる。

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