三菱自「ゴーン流」改革始まる 提携効果は「両社で500億円」 日産と生み出すシナジーとは(2/2 ページ)

» 2016年10月21日 14時41分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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独立経営で再建へ

 ――ゴーン氏の会長としての役割は。

ゴーン氏 三菱自のガバナンス強化、アライアンス参加のサポート、経営のアドバイスや支援だ。日産の経営に集中しながら、一部の時間を益子氏と三菱自の支援に費やす。信頼回復に必要なスキルや人材、専門性を提供し、全面的に協力したい。

 ──益子氏の経営責任を問う意見もある。

ゴーン氏 益子氏は責任を取って辞めたいとおっしゃったが、株主の利益のために残るべきだとお願いした。結果を出し、良い決断だったことを証明したい。益子氏がリーダーに残ることは、三菱自が自ら改革するという力強いメッセージになる。

益子氏 新体制発足後は退任するという考えをゴーン氏にも話していた。しかし、独立経営の維持、新体制のスムーズな船出、信頼回復を実現するために、残ってほしいと強い要請を受けた。当初は気持ちの整理がつかなかったが、ゴーン氏に情熱を持って接してもらい、決断した。再建に向けて、もう一度自分を奮い立たせて取り組んでいく。

 ――開発部門の改革の方針は。

益子氏 開発部門では(日産から派遣された開発担当副社長の)山下氏が指揮を執り、工数管理や意識改革、業務改革などに取り組んでいる。現在、6〜7合目まで調査が進んでいる。もうすぐ全体像が把握できそうだ。その時点で、外部人材を招くことなどを検討したい。

 ――三菱自のサプライヤーとの関係は変わるのか。

ゴーン氏 アライアンスとして、競争力のないサプライヤーとは取引できない。最高のサプライヤーを選べることがアライアンス参加のメリットだ。しかし、無条件に取引を打ち切るわけではない。経営改善をサポートする用意はある。努力するサプライヤーにとっては朗報では。

 ――中長期的な成長について。

益子氏 まずは燃費不正問題の再発防止に向けた改革をやり遂げたい。従来とは異なる新しい組織を構築し、会社全体を大きく変えることに挑戦する。長期的に見ても、従来のような開発、生産体制では生き残れない。アライアンスの大きな枠組みで持続的成長を目指す道筋を示したい。

photo 信頼回復と持続的成長に向けて協業する
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