コラム
» 2016年11月24日 07時11分 UPDATE

厄介なのが:新規事業における3つのリスク (1/2)

「現状維持リスク」「失敗リスク」「副作用リスク」の3つのうち見過ごされやすいのが「現状維持リスク」である。事態が表面化して「予想外だ」と嘆く前に、できることはある。

[日沖博道,INSIGHT NOW!]
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日沖博道氏のプロフィール:

パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。


 経営戦略の一環として新規事業を検討する場合、企業は3つの異なるタイプ/レベルのリスクに向き合う必要がある。

 一つめは「現状維持リスク」。経営環境や顧客ニーズに大きな変化が起きようとしているのに、特に課題と捉えずに放置しておくことで、競争者の台頭を許し、市場で劣後し、顧客を失ってしまうリスクである。「為さざることのリスク」と言い換えてもよい。

 典型的には、外部環境の変化の予兆に気づいた関係者の誰かが警報を発し、それに応じて幾つかの外部環境分析を行った上で、SWOT分析のT(脅威)として具体的に取り上げられるというプロセスの中で、このリスクは明確化される。その際、コインの裏表としてO(機会)が同時に見つかることも少なくない。

 二つめは「失敗リスク」で、期待を込めて始めた新規事業が失敗に終わるという事態に陥るリスクである。いろいろと手間をかけて検討し、人・モノ・カネという経営資源を投資した揚げ句、期待外れに終わるのだから、非常に気になるものだ。通常のリスク分析ではこうした事態に導く成功阻害要因が主対象となる。

 このリスクには、そもそも新規事業が成立しないという「実現性」に関わるものと、成立することはするが大して収益が上がらないという「実効性(有効性)」に関わるものがあり、しかも両者は関連することが多いので、リスクの切り分けと正しい分析は意外と厄介だ。

 典型的には、事業の企画段階の半ばから後半にかけて、責任者および経営者からの「本当にうまくいくのか?」「どれだけの投資額が必要なのか? それは回収できるのか?」「最悪の場合、どれほどの損失になるのか?」といった質問にさらされることを予期しながら実現性と実効性を検証するプロセスの中で、このリスクはより明確になっていく。

 三つめは「副作用リスク」。新規事業自体は成功しても既存事業に対しカンニバリゼーション(共食い)を起こしてしまう恐れや、新規事業を推進することで既存チャネルなどから反発を受ける恐れ、または新規事業における失敗が会社の評判を傷つける恐れなどを指す。往々にして「副次的リスク」とされ、定性的リスクの一部として取り扱われることも多い。

 典型的には、事業企画段階の後半から終盤にかけて、責任者および経営者からの「心配な事態」に関するさまざまな質問にさらされる中で、このリスクは洗い出され/明確化され、真剣に向き合うべきものに関しては手当てされていく。

企業は3つの異なるタイプのリスクに向き合う必要がある(写真と本文は関係ありません)
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