そして迎えた13年目。15年に、MOWは大々的なリニューアルに踏み切った。
「味もパッケージも変えました。世の中の価値観も変わっている。消費者の商品を見極める力も上がっています。MOWが価格以上においしく、消費者にとっての“いいもの”であることをアピールすると決めました」(蓮沼氏)
マダガスカル産のバニラを採用し、MOWの持ち味であるミルクをベースにしながら、バニラの味がより強く感じられるようにした。他の人気フレーバーも、生チョコとエクアドル産のカカオマスを使用した「生チョコ仕立て」や宇治抹茶を採用した「抹茶」など、さらにおいしく消費者に好まれる味づくりをしたという。
最も大きな変化はパッケージだ。10年以上使われていた丸くて可愛らしいブランドロゴを、シンプルで大人なイメージのものに刷新した。
「従来の親しみのあるものから、おいしさと品質が伝わるものにしました。大人の女性が『これは自分向けの商品だ』と思ってもらえるように。アイスの写真も、03〜12年のパッケージはソフトクリームをイメージしたもの、13年はアイスをスプーンですくっているものですが、15年は丸型のシズル感が強いものに切り替えました」(蓮沼氏)
10年以上も親しまれてきたロゴとイメージを変えるのは、かなり大胆な変化だ。社内での反発はなかったのだろうか。
「もちろんありました。でも、お客様が付いてきていないなら、思い切って生まれ変わるべき。本質価値を守りながら、それ以外は自在に対応していく必要があります」(蓮沼氏)
MOWの本質は、素材本来のおいしさ、コク、くつろぎ感にある。この“本質価値を守る”は、森永乳業の他ブランドでも同様だ。蓮沼氏はリニューアルを行った15年当時はピノのマーケティングを担当していたが、「ピノはあの独特の形が変わらないことが価値。実は味を少しずつ変えているのですが、形が変わらないことで支持していただける」という。
この15年のリニューアルで、売り上げはV字回復した。
「トライアルやリピーターも増え、売上伸長率も非常に高く勢いが出ています。まだデータは取り切れてはいないのですが、一過性のものではなく、お客様が付いてきてくれていると実感しています。『おいしくなった』という評価も得ています」(蓮沼氏)
リニューアル後は、期間限定品を定期的にリリース。16年冬は、12月12日から期間限定・コンビニエンスストア限定で「MOW イタリアンマロン」を売り出す。“イタリア産の栗粒”や“隠し味の洋酒”で、リッチ感を出したアイスだ。価格は165円(税別)とやや高価格帯で、大人の冬アイス需要を狙う。
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