画期的な発明をした『WELQ』の落とし穴スピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2016年12月06日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

同じような「キュレーションメディア」はまだある

 どんなメディアでもデタラメな話を撒き散らしたら批判や訂正を求められる。他人の記事や写真を無断でパクったら怒られて使用料を払わなくてはいけない。掲載する広告も同様で、出稿元の企業やサービスに問題があれば、「なぜそんな企業の広告を載せたのだ」と叩かれる。そのような責任をWELQなどのキュレーションメディアは「会員の投稿記事」という免罪符をちらつかせることで、すべて豪快に放り出してしまっている。

 しかし、先ほども申し上げたように、記事の多くは、外部ライターに発注されてつくられている。責任逃れの根拠となっている「会員の投稿記事」ということ自体が、運営リスクを回避するためのうたい文句である可能性も否めない。

 それが冒頭に「ステマ」にも通じると申し上げた最大の理由だ。

 今回は、あまりに行き過ぎたSEOで悪目立ちをしたために、たまたま注目が集まったが、同様のスキームを駆使している「キュレーションメディア」はまだ山ほどある。

 2016年12月1日のTechCrunch Japanによれば、DeNAのメディアの内製化には、かつて盗用問題で話題となったバイラルメディアを運営していた人材(既に退社)が関与していたそうで、守安社長もその事実を認めている(参照リンク

 「キュレーション」だなんだと新しい言葉や、新しい概念が生まれてはいるものの、基本的には「ステマ」や「盗用問題」のようにネットメディアが従来から抱えている問題が手を変え品を変え継続されているに過ぎない。つまり、喉元過ぎればなんとやらで、今後も同様の問題が呼び方だけを変えて発生していく可能性が高いわけだ。

 そして、この問題に拍車をかけているのが、日本のネット社会の特徴である「匿名性」である。

「DeNAパレット」に属するキュレーションメディアの記事が、12月1日に非公開

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