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» 2017年01月18日 16時25分 UPDATE

オートモーティブワールド2017:トヨタが目指す「愛」ある自動運転とは

1月18日に開幕した「オートモーティブワールド2017」で、トヨタ自動車と日産自動車の技術担当役員が自動運転などの技術開発の取り組みについて語った。

[加納由希絵,ITmedia]

 1月18日に開幕した自動車業界関係者向け商談展示会「オートモーティブワールド2017」(東京ビッグサイト、20日まで)では、トヨタ自動車と日産自動車の技術担当役員が講演し、自動運転技術などに対する考え方や将来の展望を語った。

 「『愛』がつく工業製品は自動車だけだ」。トヨタの豊田章男社長が折に触れて口にしている言葉。伊勢清貴専務役員は、その言葉に込められた意図を解説し、それに基づいた技術開発の方針を紹介した。

photo トヨタが「CES2017」で公開した「Concept-愛i」

 冒頭、自身や従業員の愛車の写真と思い出話を披露。自動車が単なる工業製品ではなく、家族や友人と過ごした時間や出来事が刻み込まれた「愛車」と呼ばれるものであることを強調した。

 しかし、昔は「憧れの象徴」だったクルマが、急速な普及と性能の向上によって、「単なる消費財に変化しているのでは」と危機感を感じていることを明かした。そのため、トヨタでは「もっと愛されるクルマを作るため、使いやすさの向上に加え、人とクルマの関係を再び深いものにする」ことを目指し、技術開発などに取り組んでいるという。

 その取り組みは大きく3つ。1つは、新しい設計手法「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」をはじめとした商品力向上による「もっと乗ってみたいクルマづくり」。2つ目は、「GAZOO RACING」の取り組みで実践している参加型モータースポーツの提案。「クルマをもつ楽しさ、語り合う楽しさを深める」ことだ。そして3つ目は、「人とクルマの新しい関係づくり」。そこで自動運転の技術開発がポイントとなる。

photo トヨタの伊勢清貴専務役員

 トヨタが考える自動運転の目指す姿は、「ドライバーが自らハンドルを握るが、クルマが陰でサポートする」技術の確立だ。もちろん、無人運転の技術は必要だが、「ドライバーと気持ちが通じ合った、友達のような関係で見守り、助け合う」ことを基本的な理念としている。

 そのために力を入れているのが、「人とクルマの協調」を目的としたクルマの知能化。それは、クルマがドライバーの状態や運転スタイルを把握し、状況に応じて運転を支援する技術だ。ドライバーが運転したいときには、ドライバー自身がハンドルを操作して運転を楽しむことを陰ながら支援する。疲れている時や気分が乗らない時は、代行運転モードも選べる。運転技術の成熟度によって、運転支援の強弱を変える技術も開発している。「直感でクルマと通じ合える楽しさ」という新しい価値を創り出すことを目指すという。

 ドライバーとクルマの協調が進めば、「自分だけのクルマ」となって愛着が増し、それが「愛車」になる。ドライバーが手をかけてクルマとの関係を育ててきた昔の愛車から、クルマがドライバーに寄り添うことで関係を深める次世代の愛車へ。伊勢氏は、技術開発でその変化を可能にすることを強調した。

 最後に、その考え方と技術を表現したコンセプトカー「Concept-愛i」を紹介。米国で開催された家電見本市「CES2017」で公開した。「高齢ドライバーによる事故や地方の過疎化などの課題解決に向けて、イノベーションでチャレンジしたい」と語り、講演を締めくくった。

photo 講演には、自動車業界関係者が詰めかけた

 日産の浅見孝雄専務執行役員は、電気自動車(EV)や自動運転といった技術開発戦略や将来の展望を解説。エネルギー、地球温暖化、渋滞、交通事故といった自動車を取り巻く課題の解決を目指す姿勢を強調した。

 自動運転技術については、16年に発売した主力ミニバン「セレナ」に搭載した新技術「プロパイロット」の成果を紹介。ドライバーがハンドルを握る必要があり、視認による前方確認も必要となる技術であることから、当初は「商品性があるのか」と疑問視する声も社内にあったという。しかし、発売してみると「運転が楽になった」という声が圧倒的。「ハンズフリー、アイズオフだけが自動運転の価値ではないことを実感した」という。

 今後の自動運転技術の発展には、社会や技術のさらなる進歩が必要。行政はもちろん、クラウドサービスやモビリティサービスなどの事業者との協力が欠かせない。浅見氏は「完全自動運転が可能となる社会を、ステークホルダーと一緒に組み立てていく」と決意を語った。

 将来的には、電動化や知能化などの技術によって社会課題を解決するクルマ「インテリジェント・モビリティ」を目指すという。例えば、EV技術による給電の利便性向上や街の静粛化、自動運転技術による移動の自由や「気の利いたクルマ」の実現。さらに、クルマがコミュニティーと密接につながり、快適な暮らしを提供することを目指して技術開発に取り組む姿勢を示した。

photo 日産の浅見孝雄専務執行役員

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