仮想移動体通信事業者(MVNO)のmineoを運営するケイ・オプティコムは1月19日、今後の事業方針を発表。MVNOに参入する企業が増え、競争の激化が予想される中、スマートフォン初心者向けのプランやファンコミュニティの運営に注力し、2020年までに計200万人の顧客を獲得するという。
mineoは、auとNTTドコモの両方の回線を提供するマルチキャリアで、15年にMVNOに参入。以降はシェアを伸ばし、現在は業界4番手となる約50万人の顧客を獲得している(16年9月現在、MM総研調べ)。
同社は現在、携帯業界で一般的な2年間の契約期間と違約金を撤廃しており、顧客は任意のタイミングで解約ができる。また、月々のデータ使用量が規定を下回った場合、余剰分を他の顧客に譲渡できる。このような柔軟な施策が人気を博し、現在の解約率は1%未満だという。
今後、更にシェア拡大を図るため、mineoは新規契約者の月額使用料から800円を3カ月間割り引くキャンペーンを実施する。また、既存の顧客が友人を紹介した際、両者に2000円分のAmazonギフト券をプレゼントする。実施期間は1月20日〜5月9日。
また、月額850円で5分以内の通話がかけ放題になるプランも展開。データ通信は月額700円〜2520円と格安スマホならではの低額な料金設定になっているため、通話とインターネットの両方を利用する場合でも使用料を抑えることが可能だ。
さらに、スマートフォン初心者向けのサービスも充実させる。3月1日から開始する「訪問サポート」は、各種初期設定、ウイルス対策などのセキュリティ強化、データ容量節約モードのレクチャーなどを同社スタッフが顧客宅に訪問して行うもので、料金は1台につき9000円(税抜、出張費込)。提供エリアは日本全国になるという。
低額料金プランや初心者へのサポートによって獲得した顧客を定着させるため、同社はファンコミュニティの運営に注力するという。「マイネ王」と呼ぶ同社のコミュニティサイトでは、mineoのサービス内容を顧客がレビューするコーナーや、新しいアイデアを顧客が運営側に提案できるコーナーを設けている。メンバー間で余ったパケットを共有できる機能も用意している。
現在、マイネ王の会員は約15万3000人で、うちアクティブユーザーは10%程度。今後は40%まで引き上げるため、メンバー限定のプレゼントキャンペーンなどを充実させ、活性化を図るという。
モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏は、「『マイネ王』は、運営と顧客の距離の近さが魅力。顧客の提案は、既に30件ほど採用し、サービス改善に生かしている。コミュニティ内で積極的に発言をしている“コア顧客”は、友人にmineoを紹介するなど、新規獲得に一役買ってくれている。今後もコミュニケーションを大切にし、ファンの拡大につなげていきたい」と語った。
MVNOが独自のサービスを考案し、他社との差別化を図る動きは広がっている。ワイモバイルは18日、契約者に「Yahoo! JAPAN」の月額会員と同じ特典を無料で提供するサービスに加え、MVNOでは珍しい学割キャンペーンを発表。LINEモバイルは同日、データ通信と通話だけでなく、音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」とTwitterやFacebookなど主要SNSが使い放題の「MUSIC+プラン」を発表していた。
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