「ニコ動」有料会員が初の減少──ネット大手各社に変調時代の変化か、あるいは

» 2017年02月11日 07時00分 公開
[小林伸也ITmedia]

 急成長で株式市場をわかせてきたネット大手に変調が起きている。2月に入り、業績の下方修正や、さえない決算を発表する企業が相次いでいる。次々と新サービスが現れ、強敵として先行者に追いすがる、生き馬の目を抜くネット業界。大手各社の変調は1つの時代の終わりを示すのか、あるいは次の成長に向けた“ため”の時期なのか──。

photo niconicoの月間アクティブユーザーも減少している

 「有料の『プレミアム会員』は当第3四半期末に252万人と、ニコニコ動画のサービス開始以来初の会員数減少となりましたが」──2月9日、カドカワが発表した16年10〜12月期決算短信の一文にネットは騒然となった。

 ニコニコ動画上の動画を優先的に視聴できる機能などを備えるプレミアム会員(税込月額540円)の収入は、ニコ動を含む「niconico」サービスの屋台骨だ。7〜9月期の決算短信では「256万人を維持しています」としていたが、ついに減少に転じた。

photo プレミアム会員の推移=決算短信から作成

 同社によると、16年10〜12月の平均月間アクティブユーザーは919万人と、前の3カ月と比べ3.7%減った。Twitterなどでは「確かに最近ニコ動を見なくなった」「小中学生もYouTubeに移った」といった声が上がる。サイバーエージェントの「AbemaTV」がアニメ配信に力を入れるなど、新たなライバルも追い上げる。

photo niconicoの現状=決算説明資料より

 一方で、企業や個人が動画や記事などを配信できる「ニコニコチャンネル」の有料登録者数は60万人に達するなど順調だ。だが、2000年代から10年代にかけて日本のネット文化をリードしてきたニコ動がいま、1つの節目を迎えている。

クックパッド、カカクコム……

 レシピ投稿サイトの最大手、クックパッド。高い成長率で優等生と評されてきた同社だが、9日に発表した2016年12月期の連結決算は、最終利益が前期から77.2%減の9億3300万円と、大幅な減益だった。海外事業の再編に伴う減損の計上や、結婚式場口コミサイト「みんなのウェディング」運営会社を連結から外すのに合わせて再評価した結果、損失を計上したことが響く。

 同社を揺るがしたお家騒動の後、創業者の佐野陽光氏ら新経営陣が本業への集中を打ち出したことが背景にある。ただ、売上収益は26.3%増の168億円に拡大しており、足下の本業は順調だ。

 だが競合サービスが次々と現れる中、内紛の影響と新経営陣の方針がどう転ぶのか、市場は疑問を払拭できていないようだ。騒動が発覚する昨年1月ごろに2500円近辺を付けていた株価はいま、1000円前後に落ち込み、反転の兆しは見えない。

photo 価格.comは日用品などにジャンルを広げている

 価格比較サイト「価格.com」や飲食店口コミサイト「食べログ」を運営するカカクコムは2日、17年3月期の連結業績見通しを下方修正すると発表した。高率で成長を続けてきた同社の下方修正は上場以来初めてだ。

 食べログの有料サービス利用者はレストラン、個人とも順調に推移しているが、価格.comで扱うコンシューマー向けデジタル機器市場の不振が想定を上回っており、関連広告の受注が減少したという。売上高は従来予想から30億円減の450億円、営業利益は20億円減の210億円に見直す。

 スマホゲーム「モンスターストライク」のヒットで驚異的な成長を遂げたミクシィ。だが17年3月期の売上高予想を下方修正し、従来予想から120億円減の2060億円に引き下げた。前期実績からも減収になる。国内のモンストは堅調だったが、海外向けや、新作タイトルの一部が見込みより低調に推移しているためだ。

 モンストにトップの座を奪われた「パズル&ドラゴンズ」を運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントの16年12月期は、パズドラの収入が減り、売上高は27.1%減の1124億円に落ち込んだ。最終利益も35.7%減の279億円に縮小した。

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