ヤフーが2月3日発表した2016年4〜12月期(17年3月期第3四半期累計)の決算は、売上高が前年同期比41.7%増の6309億円と、同期の過去最高を更新した。スマートフォン広告売上高とショッピング事業がけん引した。
営業利益は22.0%減の1521億円となったが、前期に連結したアスクルの分などを考慮すると、前年同期比12.4%増の増益だとしている。
同社の収益を支える基幹事業は、広告関連事業、オークション関連事業、会員サービス事業の3つ。
広告関連売上高は、前年同四半期比10.4%と成長。中でもスマートフォン広告売上高は好調で、36.4%増の373億円だった。広告売上高のうちスマホ売り上げが占める比率は年々上がっており、初めて50%を超えた。ユニークブラウザ(訪問者数)の64.5%がスマホからのアクセスであり、「スマホ比率は今後も少しずつだが増えていくとみている」(宮坂学社長)という。
「ヤフオク!」が属するオークション関連事業は、取扱高が2421億円と過去最高に。新しく「フリマ出品」サービスもスタートし、さらなるユーザー獲得を狙う。
会員サービス事業も、「Yahoo!プレミアム」会員数が前年同月比で8.4%増加。ヤフオク!や「Yahoo!ショッピング」などで特別なポイント付与などを行い、会員数獲得を目指す。「これまでは、ヤフオク!からの会員数増が多かったが、Yahoo!ショッピングからの会員数が増えてきた。一本足打法から二本柱になった印象。今後はワイモバイルなどとも連携して増やしていきたい」(宮坂社長)。
同社の事業の中で「先行投資」と位置付けているのが、Yahoo!ショッピングが属するショッピング事業と、クレジットカード事業だ。
ショッピング事業は、13年に「eコマース革命」を掲げ、注力。商品数、事業取扱高、広告売上高の増加に力を入れ、今期はいずれも過去最多・最高となった。特に広告は前年同期から約2倍と急成長している。
宮坂社長は「商品数がたくさんあると、ECサイトとしての魅力が上がり、購入者が増え、広告によるマネタイズを目指せる。よいエコシステムを形成できるようになってきた」と手応えを語る。
「日本の小売市場のEC化率は5%とまだまだ発展途上で成長領域。ゆるめることなく流通総額を伸ばし、中途半端な2、3番ではなく、1番のシェアを取りたい。これはインターネットビジネスの鉄則」(宮坂社長)
「Yahoo!JAPANカード」が属するクレジットカード事業は、会員数と取扱高が成長。1カード当たりの利用額が伸びているという。
17年3月期は売上高、営業利益ともに前期を上回ると見込む。第4四半期は、グループ会社であるソフトバンクやワイモバイルの会員基盤にもアプローチし、グループ全体でのシナジーを狙うという。また、好調の広告事業では動画広告を本格的にスタート。現在テスト配信を行っており、今後の収益の柱にすることを目指す。
「メディアサービス、eコマース、決済金融という3つの分野でナンバーワンになり、相互活用できるような商品の提案ができる企業になっていきたい」(宮坂社長)
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