18年卒就活、解禁間近 採用担当者の負担は増えそう売り手市場の結果……

» 2017年02月16日 18時24分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 リクルートキャリア 就職みらい研究所はこのほど、企業の採用活動の実態調査結果をまとめた「就職白書2017」を発表した。18年卒向けの採用活動では、アルバイトとインターンシップからの社員登用などが増えるなど、採用プロセスの多様化が進む見込み。また、売り手市場によって増加する就活生を短期間で選考するため、採用にかける人員とコストの確保が明暗を分ける可能性があるという。

 16年12月18日〜17年1月25日にかけて、1229社の企業に郵送でアンケート調査を実施した。

2018年卒の採用はどう変わる?

photo リクルートキャリア 就職みらい研究所の岡崎所長

 18年卒の学生向けの就職活動スケジュールは、採用情報の解禁が3月1日、選考の開始時期が6月1日と前年通り。ここ数年間続いた、政府方針による就活スケジュールの変更が一旦落ち着いた形だ。

 その影響もあり、18年卒向けの採用活動の見通しについては、「新卒採用活動の母集団」「選考応募人数」「採用者数」「内定辞退者数」など、全ての調査項目で「前年と変わらないと思う」と答えた企業が半数以上に上った。一方、「新卒採用にかかるマンパワー」と「新卒採用コスト」に関しては、「増えると思う」と予想する企業が多かった。

 同研究所の岡崎仁美所長は、「スケジュール変更が落ち着いたことによって、説明会を行う適切なタイミングやライバル企業への対応策などに対して昨年度の知見を生かせるのは大きなメリット。ただ、売り手市場の傾向がさらに強まり、多くの学生に対して短期間で面接などを行う必要があるため、採用担当者の負担は増える」とみている。「コストや人員を確保し、短期決戦型の採用活動を乗り切れるかどうかが18年卒の採用活動のカギになる。大企業と中小企業で、納得できる人材を確保できるかどうかで明暗が別れる可能性がある」という。

photo 18年卒の採用活動の見通し(リクルートキャリア 就職みらい研究所調べ)
photo 業種別の18年卒の採用活動の見通し(リクルートキャリア 就職みらい研究所調べ)

 18年卒の採用形態については、細かな部門別に採用する「職種別採用」を行う企業が最も多く、60.3%を占めた。次いで、部門などを区別しない一般的な採用形態の「夏採用」が24.5%、総合職・一般職など、大まかな業務内容別に採用する「コース別採用」が23.9%、一年を通して採用活動を行う「通年採用」が22.1%と続いた。

 昨年からの増加幅については、「採用と直結したインターンシップからの採用」(4.1ポイント増)、社員からの推薦による採用を指す「リファラル採用(2.5ポイント増)、「アルバイトなどからの社員登用」(1.7ポイント増)などが増え、採用活動の多様化が進む傾向がみられた。

photo 採用形態の変化(リクルートキャリア 就職みらい研究所調べ)

 岡崎所長は、「リファラル採用は縁故採用とは異なり、社員が推薦した人物を正規の選考フローに乗せるもの。面接官の判断によっては落選する可能性もある。より優秀な人材を採用する狙いがあり、IT企業などで増えている施策」と説明する。

 アルバイトやインターンシップからの採用が増えている理由については、「近年、就活生に『業務内容や社風を事前に詳しく知っている企業に進みたい』というニーズが増えている結果だと考えている。アルバイトなどの雇用環境が良くなっている影響や、インターンシップに力を入れる企業が増えた影響もある」と分析している。

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