4000万円のEVスーパーカー 京大発ベンチャーが世界市場に挑む理由「EV版フェラーリ」狙う(1/2 ページ)

» 2017年04月19日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 京都大学発の電気自動車(EV)ベンチャーのGLM(京都市)が、開発中のEVスーパーカー「GLM G4」を日本初公開した。2019年に量産化し、日本や欧州、中国などで販売する計画。価格は4000万円を想定し、1000台の販売目標を掲げる。大手メーカーも含めてEV開発競争が加速する中、超高級路線のEVを開発する狙いについて、小間裕康社長は「日本の技術を集めた『テクノロジーショーケース』として広めたい」と話す。どういうことだろうか。

photo EVスーパーカー「GLM G4」と、GLMの小間裕康社長

日本の先端技術を発信

 目指すのは「EV版のフェラーリ」――。GLMは米EVメーカーのテスラ(Tesla)と比較され、「『和製テスラ』といわれることもあるが、少し違う」(田中智久取締役)。EVの先端技術とラグジュアリーを組み合わせた新しい位置付けを狙う。小間社長は「アッパー層のポジションにあるEVはまだない。マーケットを作りやすい」と説明する。

 超高級EVに挑戦する理由は、それだけではない。大手自動車メーカー出身のエンジニアや、部品を共同開発する自動車部品メーカーなどの技術力を結集し、日本のテクノロジーを世界に知ってもらうことが大きな狙いだ。日本の大手メーカーでも、最先端技術の開発が日々進んでいるが、市販車として量産するためにはコストダウンが必要となる。「量産化の少し前の段階、まだコストダウンできていない技術に的を絞って採用する」(小間社長)ことで、日本の最先端技術をいち早く発信する役割を担う考えだ。

 そのため、G4の販売は日本以外にも広く展開する。高級車メーカーが多い欧州や新興メーカーが増えている中国のほか、香港、中東で販売を計画している。日本に加え、欧州でも生産体制を構築する。

photo 2019年に量産を目指す「GLM G4」

航続距離は400キロ

 G4専用のパワートレインや最先端の電子制御装置などを搭載する。動力源のモーターは、高効率・高出力のものを専用開発し、車両の前後に2機搭載する。EVでありながら、最高出力は540馬力。発進からわずか3.7秒で時速100キロに到達し、最高速度は時速250キロに達する。1回の充電で走れる航続距離は400キロだ。

 コンセプトは、路上を走るヨットを意味する「ロードヨット」。スーパーカーの力強さとEVの静粛性を兼ね備えていることから、「大海原を前へ前へと進むヨット」をイメージした。外観は、クーペスタイルでありながら4ドアを備え、4人が乗車できる。4枚のドアが高く跳ね上がるデザインが印象的だ。「クリーンなEVなのに、荒々しく、優雅」(小間社長)なクルマになっている。

 今後、量産化に向けて、パワートレインなどの重要部品の開発を加速させる。年内には試作車で走行テストを実施し、その様子を公開する計画だ。

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