高級車「レクサス」が売れている理由国内販売は5万台超え(1/4 ページ)

» 2017年03月10日 06時15分 公開
[伏見学ITmedia]

 東京・永田町――。政治家が集うこの場所では、日夜関係なく黒塗りの高級車を目にすることができるだろう。昨今その光景に微妙な変化が起きている。かつては独Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)が大勢を占めていたところに、トヨタ自動車の高級ブランド、Lexus(レクサス)が存在感を強めてきているのだ。

 もっとも、永田町に限らず、街中でレクサスが走る姿を見る機会が増えたと感じている方は多いかもしれない。

 それもそのはず。レクサスは新車販売台数を勢い良く伸ばしていて、2016年には国内で5万台を初めて突破した。全世界でも67万7615台(前年比104%)と、4年連続で過去最高の販売実績となった。

 若者のクルマ離れが叫ばれるなど日本の自動車マーケットが伸び悩む中、なぜレクサスは好調なのだろうか。元々は米国市場向けのブランドだったレクサスが日本で展開をスタートしてから12年。いよいよ普及の次の段階に入ったと言えるが、この陰には高級ブランドには似つかないほどの地道な活動があったのだ。

雪の山道をダイナミックに走るLX570 雪の山道をダイナミックに走るLX570

雪上で“大人の遊び”

 「こんな雪山をホントに進めるの?」

 「どうぞ思い切ってアクセルを踏んでください!」

 2017年2月末、北海道の玄関口である新千歳空港(千歳市・苫小牧市)からほど近い場所にある「新千歳モーターランド」。まだまだ春はほど遠く、大雪の降り積もる広大な敷地で、一般向けのあるイベントが行われた。

 参加者は1000万円を超えるレクサスの最上位モデルSUV「LX570」を運転して林道を分け入り、文字通り“道なき道”を突き進んでいた。これは「SNOW TREK」というレッスンプログラムだ。ほかにも雪上をスポーツカーでドリフト走行する「SNOW SLIDE」や、カートレースが用意されていた。

 これはレクサスが主催する「LEXUS AMAZING EXPERIENCE THE 7th DRIVING LESSON -snow program-」というイベントだ。参加費は2泊3日のパッケージツアーで約20万円と決して安い値段ではないが、夫婦やクルマ好きの男性など7組、計14人が参加した。そのほとんどがレクサスオーナーではない。

 「革新的で驚きに満ちた体験を“大人の遊び”として提供するというテーマを掲げるこのイベントは、レクサスが定期的に開催するドライビングレッスンで、今回が7回目となる。同レッスンのプリンシパルを務める木下隆之さんをはじめ、井口卓人さん、寺田昌弘さん、番場琢さん、三橋淳さん、そして脇阪寿一さんと、プロのレーシングドライバーがインストラクターになって、さまざまなシーンでのレクサスの運転を体験する。すべて日常では滅多に経験できないことばかりだ。

カートレースは脇阪寿一さんがインストラクターとして参加者にアドバイスなどを行った カートレースは脇阪寿一さんがインストラクターとして参加者にアドバイスなどを行った
吹雪の中でのドリフト走行 吹雪の中でのドリフト走行

 参加者は童心に返ったように歓声を上げたり、頬を紅潮させながら息を弾ませたりと、雪の中の“大人の遊び”を堪能していた。参加者の一人は「これまで欧州メーカーが主催する同様のイベントに行ったことはありましたが、レクサスがやっているのを今回初めて知りました。日本企業でもこうした取り組みをするのは意義があると思う」と感想を述べた。

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