ヤフー、初の営業減益 アスクル火災が思わぬ打撃次期の「3つの方針」も発表(2/2 ページ)

» 2017年04月26日 19時15分 公開
[青柳美帆子ITmedia]
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17年度の「3つの方針」

 ヤフーの中長期的な目標は「マルチビッグデータドリブンカンパニーへ」。ビッグデータを活用し、展開するサービスをパーソナライゼーション(個人に向けた最適化)を行えるようにしていくビジョンを持っている。17年度は売上高は16年度比で1けた台半ば程度の増収、営業利益は目標に向けた積極投資で減益を見込み、1750〜1850億円程度を予想する。

次期は1750〜1850億円程度を予想

 そのための3つの方針が、「EC取扱高最大化」「リッチメディア化」「データドリブン化」だ。

EC取扱高最大化

 これまでYahoo!ショッピングでは、「売り手を増やす」施策を打ってきていた。「毎月の出店料無料」「売上ロイヤリティー(システム利用料)無料」などで、商品数やストア数を増やし、取扱高や広告売上高を大きく伸ばしてきたのだ。

 「これまでの『売り上げ爆増』は『EC戦略1.0』。『2.0』として『買い手爆増』を目指したい。我々ならではの増やし方をしたいと考えている」(宮坂社長)

 訴求していく顧客セグメントは、「Yahoo!プレミアム」会員とソフトバンク会員だ。特定の会員に向けてショッピングの特典を充実させ、まずは狭いセグメントからユーザー数や取扱高を増やしていくことを狙う。ソフトバンク会員に占めるYahoo!ショッピング購入者の割合は3月時点で12%だが、「膨大な伸びしろがある」(宮坂社長)という。

 その他にも、その他事業やグループ会社とのシナジーを強化し、eコマース取扱高の増加を目指す。

シナジー強化で取扱高増加

リッチメディア化

 「Yahoo!JAPAN」サービスの月間利用者数は約6000万人、デイリーユニークブラウザ数は9000万人とポータルサイトでは圧倒的な国内最大手だ。PCはもともと強かったが、スマホシフトにも成功し、スマートフォン経由でのアクセスは65.1%に上る。

 基幹サービスの「Yahoo!ニュース」の利用者は、PCからは3300万人、スマホからは約3900万人という(ヤフー調べ)。両デバイス共に「成長余力がある」と考え、さらなる利用者数の増加を目指す。

 「Yahoo!ニュースでも、これからは動画、ライブ配信でのニュースへの需要が高まっていく。リッチメディア化し、動画ニュースを拡充していきたい。4月18日からは、日本テレビと提携し、『日テレNEWS24』を24時間ライブ配信を行っている」(宮坂社長)

データドリブン化

 利用者数の多さを背景に、膨大なビッグデータの蓄積があるヤフー。データ蓄積を生かし、コンテンツ、広告、ショッピングレコメンドにおいて、ターゲティング精度の向上を目指す。

 「これまで、事業内・サービス内でのデータ活用は行ってきたが、今後は多領域の事業を伸ばすようにデータドリブン化を果たしたい。サービス・マーケティングに強い会社というイメージから、テクノロジーに強い会社へと脱皮していきたい」(宮坂社長)

 エコシステムを強化し、さらなる拡大を目指すヤフー。なお、日本では好調な「ヤフーブランド」だが、米Yahoo!は米携帯大手Verizonに買収され、AOLを合わせた新ブランド「オース(Oath)」として展開することが決まっている。オースとの関係について質問された宮坂社長は「関係の質は変わってくるが、引き続き重要な戦略的パートナー」と答えた。

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