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» 2017年05月29日 07時00分 UPDATE

「公平な競争」望む声も:格安スマホは「サブブランド」を超えられるのか

格安SIMが携帯市場全体に占める割合は7.4%で、依然として10%未満にとどまっている。その要因は、KDDI傘下の「UQ mobile」など、キャリアのサブブランドの台頭だ。MVNOは独自色を強めて対抗しているが、さらなる発展を遂げることができるのだろうか。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 MVNO(仮想携帯電話事業者)が苦戦を強いられている。調査会社のMMD研究所によると、2017年3月現在、格安SIMが携帯市場全体に占める割合は、前回調査時(16年10月)から1.6ポイント増の7.4%と、依然として10%未満にとどまっている。

photo MVNOが携帯市場全体に占める割合

キャリアの「サブブランド」が脅威に

 MVNOに立ちはだかるのは、KDDI傘下の「UQ mobile」や、ソフトバンクの「Y!mobile」といった、大手携帯電話事業者(キャリア)の「サブブランド」だ。豊富な資金力を生かし、有名タレントを起用したテレビCMを放映。通信速度やサポート面でもキャリアと遜色ないサービスを提供し、ユーザーを続々と獲得している。

photo 「UQ mobile」
photo 「Y!mobile」

 総務省のガイドライン改定の影響が小さかった点も誤算だった。同省は2月に「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を改定。一括払いで端末を購入したユーザーは、即座にSIMロックを解除できる制度を設けた。分割払いで購入したユーザーがSIMロックを解除できるまでの期間も、約180日から約100日に短縮した。

photo 総務省のガイドライン

 当初は、新制度を利用してSIMロックを解除し、キャリアからMVNOへと転出するユーザーが増えるとみられていた(関連記事)。しかし実際は、ユーザーの活発化にはつながらず、転出者は一部のコアユーザーにとどまっている。

 さらに、NTTドコモが一括払いで端末を購入したユーザーの月額料金を割り引く新プラン「docomo with」を6月から始めるなど、キャリアはユーザーの転出防止策を着実に進めている。

 こうした状況下でシェアを伸ばすため、MVNOは独自サービスの強化に活路を見出している。

MVNOは多様化進む

 楽天モバイルは、料金の支払い時に「楽天スーパーポイント」を付与する点がEC(インターネット通販)利用者を中心に人気を集め、MVNO市場のシェア1位を獲得している。MMD研究所の吉本浩司所長は「ポイントという『付加価値』を生かしたプロモーションの成功例。端末も安く、入手しやすい」と人気の要因を説明する。

photo 楽天モバイルの仕様
photo 楽天モバイルの仕様

 3位のmineoは、ユーザーと積極的に交流し、口コミを中心にシェアを伸ばしている。具体的には、ファンコミュニティー「マイネ王」を運営し、会員サイト上で質問や提案を受け付けたり、オフ会を定期的に企画したりと、ユーザーとの意見交換に注力。格安スマホの大きな課題とされている「Jアラート」の受信方法についてもサイト上で細かく解説している。

photo mineoのコミュニティーサイト「マイネ王」

 mineoを提供するケイ・オプティコムの上田晃穂グループマネージャーは「当社はユーザーに安心感を与えることを最優先している。現在、直営店の拡大も進めており、ユーザーに直接説明ができる体制を整えている」と話す。

 9位のイオンモバイルは、同社のSIMカードを挿入したスマホを1週間無料で貸し出す施策を実施。ユーザーは事前に実機を試し、サービス内容を気に入った上で契約を結んでいるため、同社はMVNOに多い「通信速度が遅い」「支払金額が想定と異なっていた」などのクレームを削減できているという。

photo イオンモバイルの取り組み

 昨年9月に参入したLINEモバイルは、Facebook、Twitter、Instagram など人気SNSの利用時の通信量をカウントしない「カウントフリー」と呼ぶプランが20代以下の若年層に人気で、着実にユーザー数を伸ばしつつある。無料通話アプリ「LINE」と連携し、LINEモバイルの公式アカウントに話しかけることで通信状況を確認できる仕様も人気だ。

サブブランドへの対抗は限界がある?

 サービスの多様化が進んでいるMVNOだが、イオンモバイルを提供するイオンリテールの井原龍二マネージャーは「企業努力だけではサブブランドに対抗するには限界がある」と警鐘を鳴らす。

 「サブブランドは、通信速度がキャリアと遜色なく、CMも大量に放映できているにもかかわらず、通信料が“不当”といえるほど安い。こうした料金体系がまかり通っている状況下では正常な競争ができないため、官公庁には適正な管理を望みたい」(井原マネージャー)

 キャリアのみならず、サブブランドとの闘いも強いられているMVNOは今後、さらなる発展を遂げることができるのだろうか。

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