社内の交流が少ない、ブランド価値を高めたい、もっと活気がほしい……。企業が抱えるさまざまな課題を解決するために、全ての働く人の生活と切り離せない「食」をヒントにできないだろうか。食事を取るだけでなく、コミュニケーションやリラックスの場所として機能するようになった社食は、いまや会社の“顔”にもなっている。社食にまつわる取り組みから、改革のヒントを探る。
→第1回 “安い・早い・多い”だけじゃない 社食で企業価値向上へ
→第3回 社食でついつい選んでしまう「健康メニュー」とは何か
→第4回 本記事
前回まで本格的な社食を紹介してきたが、オフィスの設備や会社の規模、コストなどを踏まえると、食堂を設置できないケースも多い。それでも社員に食事を提供しようと考える企業に向けたサービスが、“宅配型”の社食だ。利用する企業は増えているようだが、どのように使われているのだろうか。食堂やカフェにはない、多様な使い方があるようだ。
東京都新宿区にオフィスを構えるWebマーケティング会社、キュービック。エンジニアやWebデザイナーたちがPCに向かって仕事をする傍らに、小さな冷蔵庫がある。中に入っているのは、1食ずつパック詰めされた、おかず。電子レンジで温めて、すぐに食べられるようになっている。
利用しているのは、おかん(東京都渋谷区)が提供する“ぷち社食”サービス「オフィスおかん」だ。専用冷蔵庫と、常温商品や容器などを入れる専用ボックスを企業のオフィスに設置し、そこに総菜やご飯などを定期的に届けてくれる。利用するのに必要なのは、設置スペースと電子レンジだけで、手軽に始めることができる。
2014年のサービス開始以降、利用企業数は急増し、現在は約700社。当初のサービス対象エリアは首都圏(一部を除く)に拠点がある企業のみだったが、16年夏に宅配便で届ける新サービス「オフィスおかん便」を開始。全国でも利用企業が増えているという。
キュービックは16年にオフィスおかんを導入。それまでサラダの宅配サービスを利用していたが、おかんに切り替えた。世一英仁社長は「オフィスおかんは、ヘルシーでメニューのバリエーションが豊富。導入コストや商品価格にもメリットを感じた」と振り返る。
総菜とご飯は1個100円(カレーは200円)で、野菜ジュースのドリンクも1本100円。1カ月以上の長期保存が可能な製法で作られている。肉や魚の主菜や副菜など、約20種類を用意しており、毎月メニューが変わる。おかずとご飯を組み合わせれば、400円程度で定食になる。持参した弁当やコンビニのおにぎりなどに、1品追加する使い方もできる。
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