「未来の営業マニュアル」いかがですか

ウォーリーをさがすように、「顧客」を見つけることができるのか営業部 AI課(1/4 ページ)

» 2017年07月11日 11時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

特集「営業部 AI課」:

 AI(人工知能)に自分の仕事が奪われるかもしれない――。あなたはそんな不安を感じていませんか?

 20XX年、オフィスにはAIがあふれ、公園には失業者があふれる日がやってくるのか。答えは「否」である。AIをうまく活用することで、いまよりも生産性を引き上げることが可能なのだ。

 「そんなことを言われても、イメージができないのでよく分からないよ」と思われたかもしれないが、心配無用である。本特集「営業部 AI課」では、最新の事例を紹介しながら、私たちのこれからの働き方も提案していく。

 いまを知り、これから鍛えることで……。「AIと一緒に働くことが楽しい!」そんな日が必ずやってくる。

 →「営業」の仕事はAIでどう変わるのか


 営業担当のビジネスパーソンにとって、自社の製品やサービスを購入してくれる可能性が高い顧客を見つけるのは簡単ではないだろう。

 営業では、DL(ダイレクトメール)やポスティング、最近ならインターネットなどで顧客になりそうな相手を探すなど、基本的に“数”を打ちながら新規契約者を獲得していくケースも少なくない。なかなか骨の折れる仕事で、根気が必要となる。

 そんな営業の世界で、かなりの高確率で自社と契約してくれそうな相手があらかじめ分かっていれば、会社での評価が上がり成績もよくなるはず。このように書くと、外回りで日々汗を流しているビジネスパーソンから、「そんなことができれば苦労しないよ!」と怒鳴られそうだが、実は現在、米国ではAI(人工知能)を駆使して高精度で見込み客を開拓する新たなツールが実用化されており、にわかに注目を浴びている。

 AIを駆使したビジネスツールを提供する企業は今各地で増えている。例えば、AIで消費者の動向を分析して企業に提供する「Drawback」という米カリフォルニア州の企業や、台湾を拠点に各国でターゲティング広告配信のプラットフォームを提供する「Appier」といった企業などが知られている。またAIの営業支援サービスを提供している米ユタ州の「InsideSales.com」という企業もある。

 こうした企業の中でも、営業に特化した、AIを駆使した独自ツールを提供している興味深い企業がある。米IT系情報サイト「ギガオム」でB2Bのベストプラットホームのコンペティションで勝利した経験があり、米フォーブス誌で「2017年に導入すべき11のビジネスツール」にも取り上げられるなど、最近米メディアでも名前を見る機会が増えた「LeadCrunch(リードクランチ)」だ。

 このリードクランチが他のAI企業と違うのは、同社が提供するプラットフォームが、もともと米海軍に導入するために開発されたAIシステムだということだ。米海軍では、何百万というデータやバリアブル(変数)を分類・解析し、海上における船舶などの特徴的な動きを監視している。例えば、このテクノロジーを使って、海上交通路から外れて航行する船舶が、一般商船なのか中国の駆逐艦なのか、はたまた怪しい船舶なのかをAIによって分析し、さまざまなパターンから予測・判断しているのだ。

 それと同じAIシステムを使って、リードクランチはビジネスで有望な顧客を集める営業ツールを提供している。

自社製品を購入してくれる人を見つけてくれるツールが、米国で広がりつつある
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