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» 2017年07月25日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:「ゾンビ」がショッピングモールに集まる深い理由 (4/4)

[窪田順生,ITmedia]
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次につくられるゾンビ映画の舞台

 実はゾンビのルーツはハイチにある。亡くなって埋葬された者が土から這(は)い出てきて蘇ったという「伝説」がもとになっている。

 かつてハーバード大学の人類学者がこの伝説を調査したところ、ハイチの秘密結社が、規律に従わないメンバーに「罰」としてフグの毒、テトロドトキシンなどを配合した「ゾンビパウダー」を体のすり傷などにこすりつけていたことが分かった。

 このゾンビパウダーをかけられた者は仮死状態に陥る。埋葬されたところで、蘇生するがハイチ社会的には「死人」という扱いとなる。これで秘密結社は、この蘇った者を「人」ではなく「死人」として好きなように扱っていたという。

 つまり、ゾンビとはもともと人間の醜い争いが生み出した「奴隷」だったのだ。

 そう考えると、社畜という名の奴隷が悲鳴をあげるこの社会で、ゾンビ映画の人気が出てきているのも妙に納得してしまう。

 ただ、残念ながらロメロ監督のように日本社会の問題を鋭くえぐったような和製ゾンビ映画はない。そこで提案だが、そろそろ日本でもオフィス街を舞台としたゾンビ映画をつくったらどうだろう。

 生前の習慣から、帰宅することなく延々とオフィスに居残り続けるゾンビの群れのなか、パワハラ上司と部下が生き残るために醜い争いを繰り広げる。

 「社畜」と「ゾンビ会社員」、人間らしいのは果たしてどっちだ――。

 ヒットするかどうかはお約束できないが、ロメロ監督が草葉の陰で笑ってくれるのは間違いない。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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