シェア拡大目指すnuroモバイル、次の一手は?他社との差別化に注力

» 2017年08月01日 18時38分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 仮想移動体通信事業者(MVNO)のnuroモバイルを運営するソニーネットワークコミュニケーションズ(So-net)は8月1日、新プラン「深夜割プラン」「データ前借り」「10分かけ放題」を提供開始した。いずれも“シンプルさ”がコンセプトで、プランの複雑化が進むモバイル市場において競合他社との差別化を図り、シェア拡大につなげる狙いだ。

 nuroモバイルは、2016年10月にサービス開始。月々のデータ通信料を2〜10Gバイトの範囲内から1Gバイト刻みで選択できるプランや、月々のデータ使用量に上限を設けない代わりに、高速通信時間の上限を1日当たり5時間とする「5時間プラン」などを展開している。

photo So-netモバイル事業部門の細井邦俊ビジネス開発部長=右

新プランの特徴は?

ニッチ層がターゲットの深夜割プラン

 今回提供開始した深夜割プランは、5時間プランの深夜版で、月々のデータ使用量に上限を設けない代わりに、高速通信が可能な時間帯を午前1時〜6時に限定したもの。価格は、5時間プランよりも1000円安価な月額1500円(税別、以下同)で提供する。

photo 深夜割プランの特徴

 So-netモバイル事業部門の細井邦俊ビジネス開発部長は「5時間プランのユーザーの動向を調査したところ、仕事などで深夜を中心にインターネットを利用する層が一定数存在した。深夜割プランは、こうしたニッチ層をターゲットにしたサービスだ」と説明する。

無料で翌月分のデータが使える

 データ前借りは、データ容量がやや不足しているユーザーを対象に、翌月分のデータ容量の一部を追加料金なしで当月分として利用可能にするサービス。前借りできるデータ容量の範囲は10Mバイト〜2Gバイトで、1Mバイト単位での利用が可能だ。

photo さまざまな顧客ニーズに対応できる体制が整ったという

 前借りしたデータを使いきれなかった場合は、翌月に繰り越すことや、通信容量を分け合えるサービス「パケットギフト」を利用して他のユーザーにプレゼントすることもできる。

 細井部長は「小規模のデータ容量をやりくりしているユーザーに適したサービス。『月末になるとデータ容量の上限に達し、通信が低速化してしまう』というユーザーの悩みを解消したい」と話す。

 「大規模のデータ容量を使用したいユーザー向けには、データ容量を100Mバイト当たり400円から追加購入できるサービス『チャージ』を設けている。データ前借りの開始で、さまざまな顧客のニーズに応えられる体制が整った」(細井部長)という。

【訂正:2017年8月2日午後7時37分 初出で「チャージ」の料金体系の表記にミスがありました。So-netから指摘を受け、該当箇所を修正しました】

アプリ通話が10分まで無料に

 10分かけ放題は、17年1月から提供している「5分かけ放題プラン」を強化し、名称変更したもの。通話アプリ「nuroモバイルでんわ」を使用して通話する場合、旧プランと同額の月額800円で10分以内の通話が可能となる。

 細井部長は「旧プランの利用動向を調査したところ、6分以上通話し、結果的に追加料金を支払っているユーザーが多かった。よりユーザーのニーズに合わせるためにプランの刷新を決めた」と話す。

photo かけ放題サービスがパワーアップした

 このほか、スタッフが顧客宅を訪問してスマートフォンの設定を補助する「訪問サポート」(1回45分/8000円)、電話などで補助する「遠隔サポート(1回30分/3000円)」も開始。直営店を持たない同社の弱点とされていた、ユーザーへのサポート面も充実させた。

今後も事業拡大に注力 ソニー製端末は「検討中」

 「当社はテレビCMや大規模な広告を手掛けていないため、他社と同じプランを展開しているとユーザーに選んでもらえない。現時点では市場シェアで上位に位置しているとは言い難いが、今後もさまざまなユーザーの声に耳を傾け、多岐にわたるニーズに応えることで、事業を拡大できるよう工夫していきたい」(細井部長)

 また、同日から「Zenfone Zoom S」(台湾ASUS製)など、端末3種を新たにラインアップに加えた。細井部長は1月実施した報道陣向け発表会で、親会社のソニーが提供する端末を導入する可能性について言及していたが、「現在も検討段階で、発表できることはない」とした。

photo 新たに提供する端末

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