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» 2017年08月10日 07時22分 UPDATE

世界を読み解くニュース・サロン:北朝鮮が攻撃できない、米国も攻撃できない背景 (2/4)

[山田敏弘,ITmedia]

瀬戸際外交の遠吠え

 8月5日の安保理決議に対して、北朝鮮は「1000倍で代償を払わせる」と息巻いているが、これもお約束の反応でもはや誰も本気にしていない。過去の挑発発言を見ると、2016年に「帝国主義の米国が私たちを少しでも怒らせたら、核兵器による先制攻撃でやり返すことは辞さない」と言い、2014年には「すべての邪悪の源であるホワイトハウスとペンタゴンに核兵器を放つだろう」と発言、2013年にも国連の制裁に「米国を攻撃するミサイル部隊は『厳戒態勢にある』」と反応している。

 言うまでもなく、どれも瀬戸際外交の遠吠えに過ぎない。

 筆者が取材した元米政府関係者らの話をまとめると、北朝鮮が米国や日本にミサイル攻撃ができない理由は、彼らの最大目標が現在の体制維持だからに尽きる。北朝鮮は日本や米国などにミサイル攻撃を行えば、あっという間に米軍の攻撃で北朝鮮という国が消滅することを分かっている。現体制の維持を考えれば、そんなバカな選択はしないだろうと元米政府関係者らは認識している。

 北朝鮮の核開発も動機は同じだ。以前、朝鮮総連の関係者に話を聞いた際にも、北朝鮮は核兵器なしに国として生き残ることはできないと言っていた。そして米国は核兵器を所有してもよくて、北朝鮮はダメだという不公平な論理は成り立たないと主張していた。北朝鮮がリビアのムアマル・カダフィ大佐の政権が崩壊したのは、核兵器開発を失敗したためだと見ているというのはよく知られている。

 一方、米国も北朝鮮を攻撃できない理由がある。米政府がこれまで北朝鮮に軍事攻撃をしなかったのは、北朝鮮が攻撃を受けたら、韓国のソウルが間違いなく火の海になり、あっという間に大勢が命を落とすことになってしまうからだ、と関係者らは言う。さらには、日本が被害を受ける可能性もある。

 ちなみにメディアはトランプ政権関係者が「全ての選択肢を考慮している」と大層な話のように報じるが、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマの歴代大統領も、先制攻撃を検討していた。彼らは上記のような理由もあって、最終的に作戦を決行しなかった。

トランプ政権関係者は「全ての選択肢を考慮している」という(出典:トランプ大統領のFacebookページ)

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