インタビュー
» 2017年08月25日 19時22分 公開

遺品整理の仕事とは?:“終活”展示会で「孤独死・ごみ屋敷」再現模型に出合った (1/2)

“終活”ビジネスの展示会で、「孤独死・ごみ屋敷ミニチュア展示中」とポップを掲げるブースがあった。遺品整理クリーンサービスのToDo-Companyだ。ミニチュアを制作した25歳の女性社員に、制作意図や「遺品整理の仕事とは?」を聞いた。

[青柳美帆子,ITmedia]

 墓石、霊きゅう車、棺桶(かんおけ)、葬儀──ここは“終活”ビジネスの展示会。そこに、目を引くブースがあった。「孤独死・ごみ屋敷ミニチュア展示中」と書かれたポップに導かれてのぞき込むと、かなりリアルで一見ぎょっとするようなミニチュアがあった。そこでは孤独死などの現場の様子が詳細に再現されているのだ。

 8月23〜25日に東京ビッグサイトで開かれた「エンディング産業展2017」(TSOインターナショナル主催)。2015年開催の初回から年々出展企業が増え、今年は326社に上った。

 ミニチュアを展示したのは、遺品整理クリーンサービスを行うToDo-Company。制作した現場作業員を務める25歳の女性社員に、ミニチュアの制作意図と「遺品整理とはどのような仕事なのか」を聞いた。

「エンディング産業展2017」の一角で展示されていた「孤独死・ごみ屋敷」のミニチュア

編集部注:本記事は「孤独死」の現場を再現したミニチュアの画像を掲載しています。


「孤独死」「ごみ屋敷」ミニチュアを展示する理由

――ToDo-Companyはどのような会社なのでしょうか。

 弊社は1999年に創業しました。メインとなっているのは遺品整理クリーンサービスです。孤独死・自殺物件の清掃、遺品整理、ごみ屋敷の片付け、生前整理などを扱っています。「遺品の棺桶」という、遺品の中から故人やご遺族が大切にしていたであろうものをまとめ、ご遺族の方に渡すサービスも展開しています。

――どうして展示会でこのようなミニチュアを展示しているのでしょうか?

 孤独死やごみ屋敷の現状は、写真だけでは分からず、伝えきれない部分があります。海外メディアなどではこうした現場をそのまま報道することがありますが、日本の報道ではぼかした伝え方をすることがほとんどです。ですから、実際の現場をミニチュアにして、こうした展示会で「こういう亡くなり方をしているんです」「こういう境遇の方なんですよ」と説明すれば伝わりやすいのではないかと思いました。

――かなりリアルなミニチュアです。ミニチュアの展示は今年からですか?

 いえ、昨年の展示会でも行いました。上の人には「作ってもしょうがないよ」と言われたりもしたのですが、ブース来場者から大きな反響があったので、今年もやってみようと。ミニチュアの数も1個から3個に増やして、力を入れてもっとリアルに伝えることを目指しました。

――それぞれ、どういったシチュエーションを再現したミニチュアですか。1つ目はお風呂場ですね。

お風呂場での孤独死

 冬場にお風呂に入り、そのまま亡くなってしまった方の現場です。ご遺体がお湯の中に入っていますし、追い炊き機能が作動していたりして、発見が早くてもご遺体の痛みが激しいことが多いです。警察がご遺体を出すときは、煮込んだ肉のようにずるりと落ちてしまったり、はがれた皮膚が浴槽についていたりもします。

――現場を想像すると壮絶ですね……。真ん中のミニチュアはごみ屋敷でしょうか。

ごみが積まれたごみ屋敷

 はい。こちらはごみ屋敷清掃の現場ですね。実際はもうちょっとごみで埋まっているケースが多いのですが、ミニチュアなので分かりやすさを重視しています。中には天井までごみが積み上がり、部屋の中のスペースが1人通れるくらいしかない場合もあります。

――天井まで。そこで生活できるんですか?

 ごみの上で寝ていたり、ごみの中に人が1人いられるくらいのスペースがぽっかり空いていたりします。多くが1人暮らしの男性で、ネット通販の段ボールや、大量のティッシュ、ピザなどの宅配サービスの箱が散乱しています。トイレに行かない人もかなりの数がいて、小はペットボトルに、大はコンビニの袋に入れて、床に放置してあります。夏場になると依頼が増えますね。ゴキブリなどの虫が発生してきて生活しにくくなるようです。このミニチュアの中にも、ゴキブリが6匹生息しています。

――依頼するのはごみ屋敷の住人本人なんですか?

 ご家族の方の依頼もありますが、大半はご本人からですね。ただ、「家族が部屋をこんなにしてしまった」と依頼を受けるものの、話を聞いているとどう考えてもご本人だというケースもあります。「自分が部屋をごみ屋敷にしてしまった」ということを恥ずかしく感じ、他人の体で依頼をしているのだと思います。

――最後のミニチュアは一軒家。布団の上にシミがあります。

一軒家での孤独死

 一軒家に1人で住んでいる50〜60代男性の孤独死現場です。毎日コンビニ食ばかりで、なんらかの病気で突然死してしまった。お金はあってもコミュニケーションを周囲と取っておらず、コミュニティーから孤立している。そのため、死後4〜5カ月見つからなかった……というケースです。どんな人でも水を使わないことはないので水道屋さんが「最近全くメーターが動いていない、もしや……」と気づいたり、近隣の方が「臭いがきつくなった」と通報してきて発覚します。

――4カ月も見つからないことがあるんですね。

 このミニチュアでは1人暮らしですが、ご家族と一緒に住んでいるのに孤独死というケースも見たことがあります。二世帯住宅でほとんどコミュニケーションがなく、1〜2カ月後に発見されました。

 孤独死が社会問題になっていますが、人は誰でも突然亡くなるものなので、1人で亡くなること自体が問題ではないんですよね。突然亡くなっても早く見つけてもらえればいい。LINEなどのコミュニケーションだけではなく、あいさつなどの近所とのリアルなコミュニケーションが大事です。近年、都営住宅で自治体の方が見回り活動をしていることが増えました。その運動で孤独死はゼロにはできないですが、早期発見につながる取り組みだと思います。

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