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» 2017年09月14日 06時00分 公開

あの会社のこの商品:酒飲みの相棒「ハイサワー」 成功の舞台裏 (1/4)

焼酎を割って飲む場合、かつては水かお湯しかなかった。しかし現在は、飲食店に行けば、焼酎をさまざまな割り材で割ったサワーが当たり前のように置かれるようになった。この新しい飲み方を広めたきっかけの1つが、博水社のハイサワーである。誕生から現在までの軌跡をお伝えする。

[大澤裕司,ITmedia]

 いま、レモンサワーがブームだと言われている。グルメ情報やトレンド情報を扱うメディアなどで、レモンサワーに関する話題を見聞きすることが多くなった。

 そんなレモンサワーをお店や家庭で簡単につくれるようにしたのが、東京・目黒に本社を構える飲料メーカー博水社、「ハイサワー」である。焼酎に注ぐだけで簡単にレモンサワーが完成する手軽さが受け、1980年の発売以来、絶大な支持を得てきた。

 ハイサワーは2016年11末時点で、販売累計数が16億5000万本(200ミリリットル瓶換算)を突破。飲食店向けが特に好調で、最近では人気居酒屋チェーン「宮崎県日南市 塚田農場」「鹿児島県霧島市 塚田農場」の約140店でも取り扱われるようになった。

 居酒屋の定番メニューとの相性は抜群であり、酒飲みにとっては手放せない相棒のような存在となっている。

photo 博水社の「ハイサワー」

米国旅行でつかんだハイサワーのヒント

 もともと同社は、ラムネなどの清涼飲料を製造しており、近隣の駄菓子屋などに商品を卸していた。しかしラムネの場合、冬はほとんど売れない。通年で売れる商品をつくることが長年の経営課題だった。

 そうした中、先代社長の田中専一氏は米国へ家族旅行に行った際、旅行先のバーで、ジンなどの蒸留酒を多種多様な割り材で割って飲む光景を目の当たりにしたという。これにヒントを得た田中氏は、同じ蒸留酒である焼酎の割り材をひらめく。日本に帰国後、レシピを考案し、1980年に最初のハイサワーである「ハイサワー レモン」を完成させた。

 ちなみに、ハイサワーの誕生にはもう1つ、エピソードがある。

 当時、同社はレモンサワー発祥の店と言われている東京・祐天寺のもつ焼き店「ばん」に炭酸水を売っていた。

 1年を通じて大量に炭酸水が売れていたことから、使い道を知るべく店を訪ねところ、焼酎を炭酸水で割り、レモンの搾り汁と合わせてレモンサワーをつくっていたことを知る。これも、焼酎の割り材を開発するヒントになった。

photo 博水社の3代目社長、田中秀子氏

 「ラムネだけつくっていたら、今ごろ当社はありませんでした。東京だけで200軒強あったラムネ工場も、現在は数軒しか残っていません。当社はできることを少しずつ広げることで、新しいものを次々と登場させてきました」

 田中氏の娘で現在、同社の代表取締役社長を務める田中秀子氏は、このように話す。

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