頑張る方向を間違える営業マンたち常見陽平のサラリーマン研究所(1/2 ページ)

» 2017年09月22日 06時00分 公開
[常見陽平ITmedia]

 20年前、私は営業マンだった。しかも、超売れない営業マンだった。トップ営業マンならぬ、宴会芸だけがウリのトップレス営業マンだった。

 いま振り返ると売れない要素がてんこ盛りだったように思う。きちんとヒアリングができていないので、顧客の課題を把握してない。コミュニケーションが一方通行で提案がずれている。会ってくれる顧客のところばかり訪問していたのだが、彼らは別に決済権があるわけでもなく、かわいそうだから私の話に付き合ってくれていたのだった。

 すさまじい数の企画書を書いたが、全く売れなかった。受注を獲得する先輩たちを見て、自分はなんてダメなやつなんだと思った。

 そして数年後、今度は営業される立場になった。このとき、自分以上にダメな営業マンをたくさん見てきた。大手企業やベンチャーを含めてだ。

photo できない営業マンは、何が間違っているのか

 営業の役割は、徐々に変化している。ノリと勢いだけで売れるわけではない。よく、ドラマでペコペコする営業マンや、ゴリ押しする営業マンが出てくるが、そんな時代はとっくに終わっている。

 今の営業マンに求められるのは「課題解決力」と「企画提案力」である。顧客の課題が高度化している上、商品・サービスがコモディティ化する中、いかに深く顧客の課題を聞き、提案できるか。ここにかかっているのだ。商品力が落ちていても、提案力があれば売れる。そして、市場を作っていくのだ。

 このように求められる営業の仕事が変化しているのに、ずれ続けている営業マンがいる。本人も駄目なのだが、それを放置する上司にも問題がある。なんせ、求められるスキルの認識が20年前の自分の新人時代で止まっているのだ。こうして「頑張る方向が間違っている系」の営業マンが生まれていく。

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