コラム
» 2017年10月07日 10時00分 公開

麹町OLの週末ビジネス探検:神社もIT化? 貴船神社の“QRコード”おみくじ

京都の観光名所・貴船神社が進化を遂げている。伝統あるおみくじ「水占(みずうら)みくじ」が、なんとQRコードを活用して多言語対応。経緯と効果を担当者に聞いてみた。

[青柳美帆子,ITmedia]

 9月、遅めの夏休みを取り、4泊5日の関西旅行に出向いた。目指すは大阪・京都・奈良。さながら“大人の修学旅行”の5日間を遊び倒してきたわけだが、非常に驚いたことがあった。縁結びで知られるパワースポット「貴船神社」(京都市)が進化していたのだ。

 貴船神社は5世紀に創建されたとも伝えられる歴史ある神社。水神を祭っているが、縁結びの神様として信仰があり、女性やカップルに人気がある(その一方で、「丑の刻参り」発祥の地としても知られている)。国内外から参拝客が集まり、常ににぎわいを見せている有名な観光地だ。

 有名なのが「水占(みずうら)みくじ」。一見白紙だが、水に浮かべると文字が浮かび上がってきて結果が分かる――という一風変わった趣向で、1回200円で引ける。

水に浮かべるとおみくじ結果が浮かび上がる「水占みくじ」。写真は記者が実際に引いたものだが、末吉というなんともいえない結果だった

 この水占みくじが進化を遂げていた。その進化とは、おみくじの紙に2次元コード(QRコード)が記載されていること。スマートフォンでコードを読み込むと、おみくじの結果にアクセスできる仕組みになっている。外国人観光客が多い貴船神社らしく、英語、簡体字、繁体字、韓国語にも対応している。

 例えば「恋愛:人に頼みて吉」は「Love:Fortune favours those who ask for help」になる。おみくじの結果を後で読み返すことができるし、日本語が分からない外国人観光客もおみくじを楽しむことができる……というわけだ。

2次元コードを読み込むと翻訳バージョンを見ることができる。外国人観光客にもおみくじの結果が分かる仕組み。英語で読んでみるとより意味が分かるような気もする

 貴船神社が2次元コード対応のおみくじを始めたのは2016年。システムはPIJINの多言語化ソリューション「QR Translator」を使っている。ユーザーが自分の携帯端末でQRコードを読み取ると、端末の言語設定を認識して自動で翻訳文を表示する仕組みで、音声でも再生される。観光地の案内や、美術館・博物館の説明文などでも使われている。同じ京都の観光地では、伏見稲荷大社(京都市)にも導入済みだ。

貴船神社に聞く、2次元コードを導入したワケ

 どうして貴船神社が2次元コードを導入することになったのか。貴船神社の広報担当者によると、外国人観光客の増加に伴い、授与所での対応に割かれる時間も増えたことが背景にある。「おみくじの結果をQRコードを使い母国語で見てもらう事により、授与所対応の迅速化を図るためです。また神社の事をより知って頂くきっかけとなればと考えました」と経緯を語る。

 「導入前はおみくじの結果を片言で伝えて対応しておりましたが、導入後は的確な翻訳を読めるため、観光客のみなさんがそれぞれその場で楽しめるようになりました。また、授与所での対応がスムーズになるという運営上のメリットもありました」(担当者)

 こうした導入を容易にした要因の1つは、敷地内でフリーWi-Fiスポット(名前は「powerspot」)を提供していたことにある。2次元コードの利用にはユーザーがネットにアクセスする必要があるが、Wi-Fiを使えば海外からの参拝者もおみくじの結果を読み取れる。

 ちなみに貴船神社はSNSアカウントの運用も活発。「京都市内でありながら四季を味わえる貴船神社をより広く知っていただき、足を運ぶきっかけとなってほしい」(担当者)という思いからアカウントを開設したというが、Instagramは19万人、Facebookは12万人のフォロワーがいる。もちろん海外のユーザーによるフォローも多い。

 歴史ある神社と2次元コードの組み合わせに思わずびっくりしてしまったが、外国人観光客が増加するにつれ、ITを活用するスポットも増えてくるのかもしれない。貴船神社はその先頭を走っている“モデルケース”と言えるだろう。

 未来の観光地は、どのようにIT化していくのだろうか。どんどん夢が広がってくる。寺社仏閣の入場料は交通系カードや電子マネーでピロリンと支払えるようになってほしいし、さい銭は自動で5円を送金できるようにしてほしい。位置情報を使って自動でスタンプラリーができるような仕組みも面白そう。……あんまりやりすぎると、ちょっと情緒がないような気もするのが複雑なところだ。

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