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» 2017年11月04日 07時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:小田急電鉄の「戦略的ダイヤ改正」を読み解く (1/5)

小田急電鉄は2018年3月のダイヤ改正を発表。4カ月も前に詳細を発表した背景には「4月から小田急沿線で新生活を始めてほしい」という意図がある。混雑緩和だけではなく、増収に結び付ける狙いだ。

[杉山淳一,ITmedia]

 小田急電鉄は11月1日、2018年3月のダイヤ改正を発表した。複々線区間の完成による大規模改正とはいえ、4カ月前の詳細発表は異例だ。そこには「4月から小田急沿線で新生活を始めてほしい」という意図がある。複々線を混雑緩和の手段だけではなく、増収に結び付ける戦略だ。

photo ダイヤ改正と同時に制服も一新。左から乗務員、駅員、駅長。ロマンスカー乗務員の制服もリニューアル予定

 小田急電鉄の小田原線(本線)は1927年に開業した。東京と、東海道最大の宿場町の小田原を鉄道で結べばもうかると考え、全区間複線電化で一挙に開業している。期待通りの乗客が集まらず、過大な投資によって経営難となった時代もあった。しかし、複線電化は当時としては珍しく、単線より運行本数が多く所要時間も短いために、小田急沿線の住宅人気は高まった。それから90年。現在も小田急電鉄の乗客数は増加傾向という。

 しかし、当初は早いと評判だった小田急も、沿線の人気による乗客増に追い付かず、混雑と遅延が問題になっていた。そこで小田急電鉄は打開策として複々線化を構想する。構想開始から50年、着工から30年。ついに代々木上原〜登戸間の複々線が完成する。従来の「混雑」「遅い」というネガティブなイメージが解消されるだろう。

photo 1960年頃の代々木上原駅。朝ラッシュの様子。(提供:小田急電鉄)

 小田急電鉄の記者発表会で「新しい小田急」という文字を見て「そうきたか」と思った。記者発表会の題目は「新ダイヤ発表」である。しかし、式次第には「新しい小田急 新ダイヤの発表」とある。ダイヤ改正だけではなく、小田急電鉄を、いや、小田急グループ全体をリニューアルしようという意気込みを感じた。もっとも、16年末からポスターや車内の動画広告で「HELLO NEW ODAKYU !」と題した複々線化告知キャンペーンを実施している。日本語で書かれて初めて気づいたとは情けない。

photo 記者会見の質疑応答。左から社長の星野晃司氏、取締役交通サービス事業本部長の五十嵐秀氏、運転車両部長の田島寛之氏
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