「副作用のないクスリなんて、ないんだよ!」
いやはや、実にロックなお医者さんだった。数年前、病院で今まで聞いたことのないクスリを処方されたときのことである。「あの、初めてのクスリなんですけど、どんな副作用があるのですか?」と念のために質問したら、こんな答えが返ってきたのだ。あまりにもバッサリ言われたので、若干傷ついたが、正論ではある。
これは大事な論点だ。クスリに限らず、物事には必ず副作用(デメリット)がある。これは、ビジネス界でも同じだ。ある施策の副作用によって、社内外に迷惑をかけてしまうこと、士気を下げてしまうこと、信頼を失ってしまうことなどはないだろうか。
例えば、よくあるパターンは「値引きキャンペーン」の副作用だ。自分自身、会社員時代に担当していた商品・サービスに“新料金プラン”が登場したときのことが忘れられない。今までよりも大幅に安くなった料金プランを提示したら、顧客から「これまでの値段は何だったのか」と言われたことがあった。
逆に、私が営業マンから値引きを提案されて不信感を抱いてしまったこともあった。こういうことを言うのはフェアではないのだが、値引きをされると、人間不信になってしまう。値段なんてあってないような感覚になってしまった。
もちろん、値引きには、市場の実態に合わせるという意味もある。あえて値引きすることによってシェアを拡大する狙いもある。ただ、値引きによって逆に「この商品・サービスは本当に価値があるのか」と不審に思われてしまうリスクもある。また、営業マンたちも値引きをしたものを売らなくてはならないので、士気が下がってしまう。企業のブランド力低下にもつながる。まさに副作用である。
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