「擬人化」という言葉を知っているだろうか。擬人化とは、動物や植物やモノなど“人間以外の題材”を人間のキャラクターにするという表現手法だ。日本の萌え文化とは切っても切り離せず、過去さまざまな作品でさまざまな題材が人間の姿に変わっていった。国、都道府県、城、鉄道、企業……「もはや日本で擬人化されていないものはないのでは?」と思うくらいの勢いだ。
例えば「艦船」を人間の美少女キャラクターにして大ヒットしたのが「艦隊これくしょん〜艦これ〜」。刀剣をイケメンにして多くの「刀剣女子」を生み出した「刀剣乱舞-ONLINE-」などもある。擬人化は今や「恋愛もの」「任侠もの」「SFもの」と並ぶような、1つの大きなカテゴリーになっている。
そんな擬人化の歴史に、また1つ新しいタイトルが加わった。「唯我独尊」「不老不死」といった四字熟語擬人化の「イディオムガール」、そして「グローバルスタンダード」「アグリー」などの意識高い系ワードを擬人化した「キルドヤ」だ。どちらも私たちになじみの深い「言葉」を題材に、華やかな美少女を作り上げている。
この2タイトルを開発しているのはDMM GAMES。実はDMMは、数多くの擬人化ゲームを世に出している。DMMはどのようにして擬人化ゲームを作るのか、擬人化の面白さはどこにあるのか? 「イディオムガール」チームの深井洸介氏と佐藤拳氏、「キルドヤ」プロデューサー(以下キルドヤP)の3人に話を聞いた。
――「四字熟語」「意識高い系ワード」を擬人化は、Twitterなどで大きな話題になっていました。企画はいつごろ立ち上がったのでしょうか。
深井: 「イディオムガール」の企画の立ち上げは、2015年12月ほどになります。企画段階で文豪キャラクター化ゲームの「文豪とアルケミスト」の話も聞こえてきたので、時期は近かったかもしれません。DMM GAMESのゲームで擬人化もののヒットが続き、「どういった擬人化ができるか?」というアイデアを出していた時期がありました。
――13〜16年は、DMMのプラットフォーム上でさまざまな擬人化ゲームが生まれています。
深井: その流れの中で、佐藤といろいろなアイデアを出しました。「伝説の武器はどう?」「温泉とかもいいかも」「ウイルスっていうのもアリ?」などなど。その中で、「四字熟語」というアイデアが出てきたんです。出てきたときには「あっ! 確かに今まで『言葉』をモチーフにした擬人化は見たことがない……」と。社内でも評判がよくて、本格的に企画が走り始めました。そこから世界観やゲーム性などを作り上げていきました。
佐藤: 「四字熟語」というアイデアから、キャラクターのイメージがチーム内で生まれていくスピードは速かった記憶があります。
キルドヤP: 「キルドヤ」の企画は、どちらかというと15年サービス開始の花を擬人化したゲーム「FLOWER KNIGHT GIRL(フラワーナイトガール)」の影響の方が大きいかもしれません。いくつか擬人化のタイトルを開発してきて、少し「DMMブランドの得意技」というイメージも生まれてきた。また、ノウハウもあったので、「次に制作する新しいゲームはどんなものがいいんだろう」と考えた時に、まず「擬人化もの」というアイデアが出てくる。さらに、「今まで出てきていない題材で面白いものはなんだろう」と考えて出てきたのが「意識高い系ワードの擬人化」です。
――どちらも「言葉」というアイデアにたどり着いたのが面白いですね。企画段階でお互いを意識したり……ということはあったのでしょうか。
深井: 実は、企画段階ではそういうことはなかったんです。DMM GAMESには部内にいくつかチームがあり、それぞれ独立してアイデア出し、企画、開発を行っています。「あのチームはこういうゲームを作っている」というのは、ある程度形が出来上がったタイミングで知るんですよ。たまたまリリース時期が重なったのもあり、ユーザーさんの反応を見聞きして「そういえばどっちも言葉の擬人化だ!」と意識し始めました(笑)。
キルドヤP: 僕の方は企画段階から耳にしていて「四字熟語面白いな〜、僕もプレイヤーとしてやりたい!」って思ってましたよ(笑)。ただ、今から振り返っての感想になりますが、客観的に見ると「DMMの擬人化ゲームの流れ」に、「DMMっぽさ」が発揮された結果、2つのゲームが生まれたなと感じますね。「イディオムガール」「キルドヤ」のチームは2つとも、DMM GAMESの初期からいるスタッフが多いですから。
――「DMMっぽさ」?
キルドヤP: DMMは、はっちゃけていても許される会社なんですよ。ユーザーさんが楽しく受け止めてくれるのであれば、他社ではできないようなちょっとヒネりすぎたネタも許容してくれる。古き良き「ふざけた」感じがある会社だと思っています。
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