上司を“ヨイショ”する部下が出世できなくなった理由「いらない部下、かわいい部下」

» 2017年11月27日 06時30分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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 「上司は自分の働きぶりを見ていない」「上司のお気に入りの部下だけ出世が早い」――こうした不満を持つビジネスパーソンは少なくないだろう。経営コンサルタントの新井健一氏は、著書「いらない部下、かわいい部下」(日本経済新聞出版社、税別850円)の中で「そもそも、上司と部下の関係は理不尽なもの。待遇や出世は、最終的には上司が部下を“えこひいき”するか否かで決まる」と説いている。

photo 「いらない部下、かわいい部下」

 では、どういう部下が上司から好かれ、出世できるのか。新井氏は代表例として「上司の“ノリ”(価値観)を的確に把握できる人」を挙げている。業務上の課題に対して(1)正確さとスピードのどちらが大切か、(2)どの程度のコストをかけるべきか――といった点を瞬時に判断し、「パーッとまとめといて」という指示だけで通じる場合、「『この人と一緒に働きたい』と思われやすい」というのだ。

 同書によると、適切な指示には素直に従うが、そうでない指示を受けた場合に毅然(きぜん)とした態度で上司と議論できる“健全なイエスマン”も、ビジネスに好影響をもたらすため高い評価が得られるという。また、「成果を出しつつ、上司を立てられる人」も上司から好かれやすいとしている。実力を鼻にかけないため、育てた上司の第三者からの評判が上がるためだ。

 ただ、こうした部下が好まれやすくなったのは最近のこと。新井氏は「かつての日本企業では、成果を出せなくても、お世辞やごますりが上手で、上司と頻繁に飲み会やゴルフをともにする『腰巾着』『太鼓持ち』スタイルの部下が可愛がられやすかった」と指摘する。

 “ヨイショ”が得意な部下たちが評価されづらくなった理由について、同書は「日本企業に成果主義が定着し、企業風土が『和して勝つ』から『勝って和す』に変化したため」と説明。「日本市場の成熟化が進んだ現代では、部下が上層部の考えを忠実に再現しているだけの企業は勝てなくなった」と指摘し、「企業は(結果を出すために)これまでの考え方や組織マネジメントを変えざるを得なくなった」としている。「今どきの上司は、すり寄ってくる部下よりも、与えられた環境で知恵を絞り、せっせと成果を出す部下の方がありがたい」と結論付けている。

 同書はこのほか、反りが合わない上司との接し方、出世後の上層部との付き合い方、ビジネスパーソンが副業に取り組むべきタイミングなどについても解説している。社内の人間関係や、今後のキャリアプランに悩む人に参考になる。

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