潜在的なニーズを見込み、「いま、市場にはない微糖」を目指して開発した「甘さ控えた微糖」。この商品には、甘味料を使用していない。また、糖類は40%減らした。しかし、前述のように、缶コーヒーから砂糖を減らすと、コクがなくなる。それを補う甘味料も使っていない。では、どのように缶コーヒーとして商品を完成させたのだろうか。
「デミタスは“濃厚さ”が大切な要素。どうやって甘さを抑えながら濃厚さを表現するか、というところに壁がありました」と土屋さんは振り返る。
ポイントはコーヒー豆の量だ。「ダイドーブレンド デミタス微糖」でも、コーヒー豆の量を基準値(「コーヒー」と表示できる規格の下限値)の1.5倍に増やしている。今回はそれよりもさらに増量。増やした量は「数%」だというが、それが効いている。
しかし、豆を増やして味を濃くするだけで良いわけではない。味を濃くすれば苦味も増すが、ほどよいまろやかさも必要だという。開発を始めた当初は、「思っていたより苦々しいものができてしまった」。ブレンドする豆の組み合わせや焙煎方法によって、味は大きく変わる。それらを一から考え直し、100種類近くのブレンドを試作。試飲を繰り返した。
「豆の産地やグレードは無数と言っていいほどたくさんあります。それをブレンドする組み合わせや焙煎のやり方によって、思いもよらない味が生まれることもある。ブレンドの奥深さをあらためて実感しました」
さらに、デミタスシリーズは香料を使用していないことも特徴。ブレンドの工程によって、香りなどの個性を引き出すことも求められる。
難しい調整を重ねる中、味の完成に至ったきっかけは何だったのだろうか。土屋さんは「あるとき、突然『これだ!』というものができるわけではありません」と苦笑する。使用する5種類の豆を少しずつ入れ替えて試作し、理想の味に近づけていった。「パズルのように、一部分を変えながら試していきました。着々とゴールに向かって進んでいったイメージです」
目標とする味に向かって、少しずつ調整を重ねていく。その繰り返しによって、「甘さ控えた微糖」という言葉通りの味を完成させた。
「缶コーヒーは甘い味から始まり、現在は『微糖』が主力。さらに移り変わって『甘さ控えた微糖』のような味が主流になってもおかしくないと思っています。市場をこじ開けていきたい」と土屋さんは意気込む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング