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» 2017年12月20日 06時30分 公開

小売・流通アナリストの視点:スーパーに産直売場 仕掛けたベンチャーの大変革がスゴイ (1/4)

今、農産物直売所が好調で、市場規模は1兆円弱に達しているのをご存じだろうか。その一方で、従来のスーパーマーケットに対する消費者の不満は大きい。その穴を埋めるべく、あるベンチャーが仕掛けたのは……?

[中井彰人,ITmedia]

 和歌山を訪れるとき、時間があれば必ず寄っている場所がある。

 「めっけもん広場」という農産物直売所なのだが、これがかなりスゴイ。大阪と和歌山の府県境、山麓で畑しかない道路沿いに突然、車の流れが悪くなる場所があり、何かと思えばこの直売所の駐車場に列ができているのだ。けっこう広い駐車場を備えているのに、それでも駐車場に入れる車で、ちょっとした渋滞が起きている。

大阪と和歌山の境にある大行列の店「めっけもん広場」 大阪と和歌山の境にある大行列の店「めっけもん広場」

 ここは全国第2位の売り上げを誇るJA直売所で、近畿圏では最大の売上高だ。その集客力は生半可なスーパーが及ぶところではない。年間売り上げ約27億円というのは、ロードサイド立地のスーパー平均店舗年商の3〜4倍にあたるといえば、その規模感が分かっていただけよう。それもほとんどが単価の安い農産物という構成であることを考えれば、いかに多くの来店客が訪れているかが想像つくと思う。

 駐車場に停めてある車のナンバーを見ると、その半数以上は大阪から来ていることがうかがえる。府県境に立地するから当たり前とも言えるのだが、大阪の買物引力の影響下に置かれている和歌山においては、その引力を逆行できる数少ない商業施設と言える。

 巨大な体育館のような空間に、地元産の果物、野菜がところ狭しと並べられ、その隙間にびっしりと人がごった返している。最近行ったのは秋口だったため、季節の目玉は柿。入り口には箱詰めの柿が積み上げられ、入り口左側の壁面はすべて柿で埋まっていた。その柿がどんどん売れていくのを見ているうちに、自分もつい1箱衝動買いして自宅に送ってしまった(ちなみにセミセルフレジでの決済にも驚かされた)。

 ここの魅力はこうした季節感なのだろう。和歌山と言えばみかんが有名だが、知る人ぞ知る果物王国で、春はいちご、初夏は梅(全国ダントツ第1位)、夏は桃(全国第4位)、秋は柿(全国第1位)、冬にみかん(全国第1位)が収穫期を迎える。そのほか、デコポン、清見、夏ミカンといったかんきつ類やキウイなどでも全国有数の果物産地である和歌山は、季節ごとに変化のある売場が展開できる。

筆者が訪れたときは柿が山積みだった店内 筆者が訪れたときは柿が山積みだった店内

 こうした季節感をアピールできているから、都市生活者が飽きることなく繰り返し来てくれる。かつて、筆者は和歌山に暮らしていたことがあって、季節ごとの旬の売場に誘われて通っていたことを思い出した(正確には妻がかもしれないが……)。消費者は、商品の新鮮さ、価格の安さということに加え、こうした品ぞろえ自体の旬の演出にも期待して直売所に足を運んでいるということだ。

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