「横綱、白鵬」を野放しにしてきた責任は誰にあるのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2017年12月22日 07時35分 公開
[臼北信行ITmedia]

白鵬を野放しにしてきた責任

 しかしながら時すでに遅しの感は否めない。ここまで白鵬を野放しにしてきた責任は誰にあるのか。今まで「大横綱」として持ち上げられていた最中でも、白鵬には言動や品格について横審から異論が出たことは何度かあったはず。そのタイミングで白鵬を厳しく指導し、正しい道へと導くことは師匠の宮城野親方も含めた協会の責務であったと考える。

 確かに白鵬自身に最も問題があるのは言うまでもない。いくら「大横綱」であろうが何だろうが、今の白鵬は明らかに調子に乗り過ぎて暴走している。「もはや制御不能」という見方も出ているが、あながち大げさではない。ただし、かつての白鵬には横綱としての品格を追求し、相撲道にまい進する時期があったのも事実だ。白鵬が悪の道へと曲がってしまう分岐点を見過ごし、正しい方向へと引き戻せなかった協会執行部側の管理体制も相当に甘いと見られても仕方がない。 

 今回の問題で八角理事長は残りの任期3カ月の報酬を全額返上するとした。しかしこの発表を聞いて、どうしても「潔い」と思えないのは筆者だけでなく大多数の人が同じであろう。

 一方で愛弟子が暴行を受けながら協会への報告を怠ったとして執行部と対立を深めている貴乃花親方への処分の判断は先送りにされた。余りに意固地になり過ぎている貴乃花親方の姿勢にも疑問が拭えないが、世間的に見て善悪の構図は明確に分かれつつある。相も変わらずに封建的体質から脱却できず閉塞感で充満していることがより鮮明となった協会(=悪)に貴乃花親方(=善)はたった1人で戦いを挑み、何とか風穴を開けようとしている――という図式だ。たとえ年内中に貴乃花親方への聴取が終わり、本人に処分が下されても両者のバトルはまず一件落着とはいきそうにない。

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