貴乃花の1人クーデターによって、“パンドラの箱”は開くのか赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2017年11月30日 12時53分 公開
[臼北信行ITmedia]
一連の騒動で、日本相撲協会の体質は変わるのか

 「パンドラの箱」が開けられようとしている。

 大相撲の横綱日馬富士が引退届を提出した。平幕貴ノ岩に対する暴行問題の責任を取る形で引退を表明。まだ鳥取県警が捜査中で真相解明がはっきりしない段階で身を引く決意を見せたことに相撲界では困惑も広がっているが、少なくとも同情の声は皆無だ。

 当たり前である。横綱の品格を欠く暴挙が明るみに出た以上、この問題が発覚した最初から引退は避けられなかった。解雇か除名といった厳罰処分を通達される前に自ら土俵を去る決断を下したのは、もしかすると本人のプライドだったのかもしれない。

 しかし、11月29日に開かれた日馬富士の会見を見ていて「潔い」とはみじんも感じられなかった。会見で重傷を負わせたとされる貴ノ岩に対する謝罪の言葉は最後まで一切なし。被疑者にもかかわらず、反省の色はまったく見られなかった。それどころか同席した師匠の伊勢ケ浜親方は当初、ハンカチで目元をぬぐう姿を見せたものの、終わって振り返ってみれば、逆に“自分たちは被害者”という立場を強調しているように思えて仕方がなかった。

 その後の質疑応答に入ってメディアから厳しい質問を向けられると、それまで目に光るものがあったはずの伊勢ヶ浜親方が急に声を張り上げながら逆ギレする醜態まで見せたからだ。違和感を禁じ得なかったのは筆者だけではあるまい。

 なぜ、会見で日馬富士と伊勢ヶ浜親方はこのような見苦しい応対を見せたのか。実はこれこそ相撲界に関わる大半の関係者、そして多くの力士たちが特殊な世界で生き、我々世間の常識とはかけ離れた暗黙の決め事の下で成り立っていることを図らずも証明してしまった場面であったと考える。

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