貴乃花の1人クーデターによって、“パンドラの箱”は開くのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2017年11月30日 12時53分 公開
[臼北信行ITmedia]

重要ポストも失う覚悟で“1人クーデター”

 個人的なことを言わせてもらえば、これまで白鵬に対しては、かつての「八百長問題」や「暴力事件」など不祥事続きで相撲界全体が存続の危機で揺れ動いた暗黒の時代に横綱として土俵を支えてくれていた経緯もあって応援したい気持ちがあった。ただ、残念ながら今回の問題発覚によって、その気持ちがトーンダウンしてしまったのは事実だ。とても残念である。

 一方、鳥取県警に被害届を提出した貴ノ岩の師匠、貴乃花親方ももう後戻りはできなくなった。日本相撲協会の危機管理委員会から呼び出されても何も報告せず、それよりも数日前に鳥取県警に相談し、あえて警察沙汰へと持ち込んだ。愛弟子、貴ノ岩が頭に負ったケガの具合を見て怒りを爆発させた貴乃花親方は巡業部長という重責にありながら、その重要ポストも失う覚悟で“1人クーデター”を引き起こした。

 他人から何と言われようとも、自分が正しいと思い込めば基本的にはテコでも動かない性格。そんな鉄の意志を持つ人物が犬猿の仲と言われている八角理事長にケンカを仕掛け、日本相撲協会全体の屋台骨を大きく揺るがそうとしている。

 過去に不祥事が連続で起こった際、日本相撲協会は暴力行為の根絶を約束していたはずだ。それでもこうやって貴乃花親方の1人クーデターによって日馬富士の暴力問題が発覚し、根絶どころかまるで徹底されていなかったことも証明されてしまった。

 そうなると他にも見えないところで親方や力士たちの「かわいがり」や、さらには星勘定に関する「○○○」までもが再び一部で横行してしまっているのではないかと疑惑を向けられてしまうのも当然の流れであろう。もしかすると日馬富士の一件は氷山の一角で今後、芋づる式に疑惑の火種が次々と出てくることになるとしたら、それこそ目も当てられない事態へと発展する。

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