貴乃花の1人クーデターによって、“パンドラの箱”は開くのか赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2017年11月30日 12時53分 公開
[臼北信行ITmedia]
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貴乃花親方は何を求めているのか

 心配そうな顔を浮かべながら相撲界OBの1人は、次のようにコメントしていた。

 「暴行が起きたのは、日馬富士や白鵬、貴ノ岩、鶴竜らが定期的に集まる『モンゴル人会』という酒席の場。貴乃花親方は貴ノ岩が、この『モンゴル人会』へ出席することを以前から嫌がっていた。もともと相撲界に独特の暗黙のルールがいまだにはびこっていることに嫌気を覚えていた貴乃花親方はおそらく、それを許している現体制の一掃とクリーン化を図ろうとしているのだろう。

 今回の日馬富士の件のように暴力行為があった場合、以前だったら『まず警察』ではなく日本相撲協会に常設されている危機管理委員会に報告を済ませ、協会側から被疑者に対する処分が下されていた。トラブルが起きた場合、こうした段取りを進める形を公益の財団法人として国から認められているからだ。

 日馬富士のやったことは、確かに言語道断。ただ貴乃花親方も自分の考えを頑なに貫くのは立派だが、1人クーデターでは残念ながら勝算は低い。やはり相撲協会に属しながら自分の考えに賛同する同志をつくらないといけないだろう。そういう意味では今の貴乃花親方のやり方では相撲界の『パンドラの箱』をむやみに開けてしまっただけで結局、ぐちゃぐちゃにして終わってしまう危険性がある」

 貴乃花親方は何を求めているのか――。警察の捜査にすべてを任せ、ダンマリを決め込むだけでなく、そろそろ胸のうちを明かす必要性がある。このままでは終着点が見えず、日本の相撲界は混迷の一途をたどってしまうかもしれない。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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