ゼロから必死に取り組んできたモノづくりはさらに注目されるようになり、思っていた以上の広がりを見せている。自動車業界の大手メーカーからも、研究開発や人材教育を目的に話を聞きに来る人が増えている。
トミーカイラZZのフレームにモーターやバッテリーなどを積んだプラットフォームの部分を他社に活用してもらう事業も開始し、その反響も大きい。プラットフォームを使えば、内外装部品のメーカーが実際に走るコンセプトカーを作ることも可能だ。
この事業は、プラットフォームを活用することで収益を上げることが当初の目的だったが、実際に始めてみると、自動車開発に関する「困りごと」がたくさん集まってくるようになった。例えば、「採用されずに眠っている新技術がある」「クルマづくりの全体像がつかめない」といった悩みだ。昔と違い、現在の自動車はコンピュータ制御などの構造が複雑で、完成車を改造して仕組みを知ることが難しくなった。
そのような悩みに対して、新技術を試すために車両を活用してもらったり、一からEV開発をして蓄積した技術やノウハウを提供したりできる。藤墳さんは「クルマを作るだけでなく、自動車開発に関する技術相談の窓口や受け皿としての役割は他のメーカーにはできない。それがGLMの存在価値になれば」と力を込める。
「モノを目の前にして頭を抱える、というのがGLMでよくある光景です。しかし、それが最も大事で面白いところ。ほとんど大変なことばかりですが、たまにいいこともあるんです」と藤墳さんは笑う。
そんな藤墳さんとGLMのモノづくりに共感して入社してきた後輩エンジニアたちには「積極的に失敗してください」と伝えている。自分の判断で思い切りやってほしい。それができる環境を整えることも大事な仕事だ。「組織が大きくなりすぎると効率化、システム化されてしまう。そうではないから感性を磨けるのだと思います。そのバランスを取りながら成長させていきたい」と意気込む。
1人のエンジニアとしては「自分がほしいクルマを作り続けたい」と願う。「結果が想像できてしまうものではダメ。常に新しい、難しいことに触れていたいんです」
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