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» 2017年12月25日 06時00分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:2017年 試乗して唸った日本のクルマ (1/4)

2017年も数多くのクルマがデビューしたが、全体を振り返ると日本車の当たり年だったのではないかと思う。改めて筆者が特に心に残ったクルマ4台のクルマをデビュー順に振り返ってみたい。

[池田直渡,ITmedia]

 2017年も残すところあと1週間となった。今年も数多くのクルマがデビューしたが、全体を振り返ると日本車の当たり年だったのではないかと思う。

 年末に向けて、改めて筆者が特に心に残ったクルマ4台のクルマをデビュー順に振り返ってみたい。

CX-5 グローバルベストの1台

 年明け早々の試乗会で驚かされたのはマツダのCX-5だった

フルモデルチェンジを果たしたマツダCX-5。マツダのグローバル販売台数の4分の1以上を占める大ヒットモデルの後を継ぐ。現行モデルも売れ行きは順調のようだ フルモデルチェンジを果たしたマツダCX-5。マツダのグローバル販売台数の4分の1以上を占める大ヒットモデルの後を継ぐ。現行モデルも売れ行きは順調のようだ

 クルマの性能の基本は「走る・曲がる・止まる」である。どんなにカッコよかろうが、スペースユーティリティに優れていようが、燃費が良かろうが、そこが及第点以下なら話にならない。

 日本車は1980年代にその根幹部分でようやく合格ラインに達し、プラスアルファ――つまり速さとか、安さとか、信頼性とか、ユーティリティとかとの合わせ技で、世界のトップと渡り合えるようになった。だから80年代には自動車貿易摩擦が起き、日本車は世界的ブランドに育っていったのだ。だが、残念なことに、「走る・曲がる・止まる」という根幹部分だけを海外の車と比べるとまだ同じ土俵に上がれていなかった。

 例えば、1990年に登場した日産プリメーラは、当時日本車離れしたハンドリングを絶賛された。実際にある程度舵角を入れてからの前輪の仕事と、旋回中絶大な信頼がおけるリヤのスタビリティこそ革命的に見事だったが、中立付近の微舵角からの自然なつながり(それは普段使いで最も多様するところ)や、路面のうねりで車高が変化しながら曲がるときのかじ抜け感という点では、同時代の欧州車にまだ敵わなかった。筆者自身が身銭を切って新車で買ったクルマだからその違いは身に沁みて知っている。

 あれから四半世紀の時を経て、CX-5に乗ったとき、これで日本車は本当の意味で世界トップレベルになったと思った。

 まずは着座して、ハンドルやペダルがあるべき位置にしっかりあること。つまりハンドルやペダルのオフセットを許容していない。オフセットに対して右ハンドルは構造的に不利とはいえ、やはり母国のクルマでオフセットは勘弁してもらいたい。マツダは現行車種の全てでオフセット対策をしっかりやっていることを高く評価したい。

 CX-5の最大の美点は、まっすぐ走っているだけで充足感をかみ締められる直進安定性だ。そこからの微細な加速制御のしやすさ、ブレーキの絶対的な効きと、ペダル踏力による減速制御のリニアリティ。特にこれまで日本車が不得意としてきた抜き側の精度向上には驚かされる。

 ステアリングも微舵から大舵角まで連続感が見事で、絶対的には軽いとは言い難い車重にもかかわらずワインディングで軽快なフットワークを見せてくれる。

 もう1点、特筆すべきことは、Gベクタリングコントール(GVC)とACC(アダプティブクルーズコントロール)の相性の良さ。高速の屈曲路、例えば、東名の大井松田付近のような区間を走っていると、一般的なACCは舵角と関係なく原則アクセルONなので、どうしても気持ちの悪いアンダーステアが伴い、必要以上にかじを切り増してねじ伏せるような運転になる。それは制限速度内でも十分に感じられるものだ。

 一方で、GVCは舵角に対して適正な横力発生が得られているかどうかを常時計測して、アンダー感が消えるまで自動的にアクセルを抑制する。セット速度から最小の減速を掛けながら気持ち良く曲がってみせる。GVC+ACCという組み合わせは現状の競合他社のステアリングアシストのどれよりも、ついでに言えば、当のCX-5に装備されているステアリングアシストよりはるかに快適で安心できる。

 だからCX-5ではステアリングアシストをオフにした方がずっと気持ち良い。筆者の予想では高速巡航アシストシステムとしては、当分はACC+GVCがベストだろう。そうした部分だけではなくクルマトータルで見てもCX-5は今、グローバル・ベストのうちの1台だと思う。

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