ヒット記事から振り返る! 2017年を読み解く「7つのキーワード」ITmedia ビジネスオンライン 年末スペシャル

» 2017年12月28日 17時00分 公開

 2017年もそろそろ終わり。ITmedia ビジネスオンラインでは、1年間にさまざまな記事をみなさんにお届けしてきました。その中でも特に読まれた記事から、「今年を読み解くキーワード」を選んでみました。ブラック企業、働き方改革、「モノづくり大国」崩壊、回転すし……記事と一緒に17年の“7大トピック”を振り返ります。

ブラック企業

 15年に電通で女性新入社員が過労自殺して以降、労働問題への世間の関心は高まり続けています。今年5月には厚生労働省が労働基準法に違反し、送検した企業をまとめたリストを公表。“ブラック企業リスト”として大きな話題を呼びました。

 売り手市場の今、働く人々は勤める会社が「ブラックな働き方」を推進していないかどうかチェックします。人手不足の問題はどの業種の企業でも悩みのタネとなる中、「ブラックな働き方」を放置することは経営リスクになってきています。「ブラック企業を周知し、働き方を変える」流れは18年以降も続くでしょう。

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働き方改革

 長時間労働の常態化を防ぎ、ビジネスパーソンが効率良く働くための施策として、2017年は「働き方改革」に取り組む企業が増えました。ただ、消費拡大への期待とともに始まった「プレミアムフライデー」は導入企業が少なく失敗に終わったとの見方が強く、単純な時短促進は「持ち帰り残業」などの新たな問題を生んでいます。

 一方、日本マイクロソフトやApple Japanなど多くの企業が導入し、成果を上げているのが「テレワーク」。遠隔地での業務をサポートするツールなども多く登場しました。「働き方」だけではなく、「生産性」にスポットが当たってくるようになっています。

 一部の飲食店では、24時間営業を中止したり、年末年始を休業とする動きも出てきています。2018年のビジネスパーソンの働き方はどう変わるのでしょうか? 今後の展開に注目です。

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「モノづくり大国」崩壊

 10月以降相次いで公表された神戸製鋼所、日産自動車、SUBARU(スバル)、東レなどの不正問題は、「モノづくり大国日本」の神話を揺るがしました。これらの企業では、ノルマ達成や人手不足を背景に、長期にわたって組織ぐるみの不正が続いていたといいます。

 不正防止を徹底するため、日本経済団体連合会(経団連)は、会員企業に調査を徹底するよう命じています。ただ、経団連の榊原定征会長は東レ出身。東レでの不正は、榊原氏の社長・会長在任時に起きていました。同氏は「在任中は不正を知らなかった」「ざんきに堪えない」などと話しているといいます。

 不祥事が相次いだ日本のモノづくり業界は今後、信頼を回復できるのでしょうか。

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東芝決算の「意見不表明」問題

 2015年に不正会計が発覚して以降、業績と体制の立て直しに取り組んできた東芝。しかし16年に米国の原発子会社で巨額損失が発生し、17年はその決算内容の正当性が大きな議論を巻き起こしました。東芝は4月、PwCあらた有限責任監査法人による意見表明がないまま16年4〜12月期の決算を発表。一時は同監査法人との決別も報じられました。

 その後も両者の意見は折り合わず、東京証券取引所が定める期日までに監査手続きを終えられなかったため、東芝は「通期業績見通し」として16年度通期の決算を発表しました。

 「通期業績見通し」では、大幅な債務超過に陥っていることも判明。8月1日付で東証1部から2部へと指定替え。上場廃止も現実味を帯びています。

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「楽天参入」「サブブランドの好調」に揺れる携帯業界

 12月14日に、楽天が携帯キャリア事業への参入を発表。18年1月に新会社を設立し、19年をめどにサービスを始める計画も明らかにしました。基地局などへの設備投資に向け、25年までに約6000億円を調達する予定とのこと。参入が実現すれば、これまでNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクによる寡占で安定していた市場が激化するのは避けられません。

 一方、16年から急速に勢力を強め、3大キャリア(携帯事業者)を脅かすと考えられていた格安SIM事業者は期待されていたほどの伸びを見せられず。携帯市場でのシェアは10%超にとどまっています。また、格安SIM市場でも「Y!mobile」「UQ mobile」といったキャリアのサブブランドが勢力を強めており、MVNO(仮想移動体通信事業者)は他社との差別化に苦しんでいます。

 ただ、テレビCMを大々的に展開できる資金力を持ち、通信の品質面でも他社とは一線を画すサブブランドは市場の成長を阻害しているとし、総務省が何らかのテコ入れを検討しているとの説も。今後も携帯電話業界から目が離せません。

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「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」――回転ずし市場の行方は?

 すしチェーン「かっぱ寿司」は6月、食べ放題キャンペーンを始めました。他社が成長する中で業績が伸び悩み、17年3月期には赤字に転落したカッパ・クリエイトが、起死回生の一手として打ち出した施策は大きな反響を呼びました。店舗限定でトライアルを重ね、11月にはついに全店で実施。今後も“新しい柱”として期待を寄せます。

 一方で、好調の「スシロー」や「くら寿司」はオリジナルメニューに注力。スシローは「カフェ部」を立ち上げ、スイーツの開発体制を強化。くら寿司は牛丼や「インスタ映え」を意識したメニューを展開しました。こうしたサイドメニューの充実は、客単価向上や幅広い属性の客の満足度向上にもつながると見ています。

 学生からファミリーまで立ち寄る回転すし。「最近行ってないなあ」という人も、行ってみると意外な変化や驚きがあるかもしれません。

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任天堂の「Switch」ブームとアプリの成功

 16年には「Pokemon GO」ブームを巻き起こした任天堂。17年は据え置き型ゲーム機「Nintendo Switch」が大ヒットする1年となりました。「マリオカート8 デラックス」「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「スプラトゥーン2」「スーパーマリオ オデッセイ」などのラインアップの効果もあり、予想を上回る需要が発生。生産が追い付かず、品薄状態が続く上半期となりました。年末商戦に向けて生産体制を強化し、ようやく落ち着きを見せ始めています。

 また、ディー・エヌ・エーと協業したスマホゲームも続々展開。「マリオ」「ファイアーエムブレム」に続いてリリースした人気シリーズ「どうぶつの森」最新作は全世界で順調な滑り出しを見せ、それに反応して株価も連日年初来高値を更新していました。年末年始、ダウンロードしてみてはいかがでしょうか?

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番外編 〜ITmedia ビジネスオンラインで最も読まれた記事は?〜

 最後に、ITmedia ビジネスオンラインで今年最も注目を浴びた記事をご紹介します。5月公開の「殻を捨てた「ザク」が、20万個以上売れている秘密」です。

 ガシャポン(カプセルトイ)なのに、カプセルという“殻”を捨てる――そんな斬新なアイデアで、「機動戦士ガンダム」の「ザク」の頭部のアイテムを20万個以上売ったバンダイ。「限界を超える」発想法を、編集部・土肥が取材しています。

 「カプセルトイ業界を取材しているなかで、驚いたことが1つ。それは、どの会社も『量産』していること。月に30アイテムほど発売しているので、担当者は次々に新しいモノを開発しなければいけません。そうした中で、完成度が高いだけでなく、消費者にもウケた『ザク』の開発背景は、業界が違ってもビジネスの参考になるのではないでしょうか」(編集部・土肥)

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