スポーツ中継の“黒船”DAZN、18年は何を仕掛ける?欧州CL、自転車競技を放送開始(1/2 ページ)

» 2018年01月25日 14時01分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 スポーツのライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」を手掛ける英Perform Groupにとって、2017年は日本市場で大きく飛躍した1年だった。

 人気コンテンツのサッカー中継では、「プレミアリーグ」(イングランド)の放映権を獲得。有料動画配信サービス市場の中で唯一、“5大リーグ”と称される欧州の人気リーグの全てを手中に収めた。16年に10年間の長期契約を結んだJリーグの視聴状況も好調に推移している。

photo Jリーグの村井満チェアマン=左、DAZNのジェームズ・ラシュトンCEO=右

 8月には、プロボクシングで無敗のまま5階級制覇を成し遂げ、15年に引退したフロイド・メイウェザーが1日限定で現役復帰し、総合格闘技団体「UFC」の王者コナー・マクレガーとボクシングで対戦する――という“夢の対決”も独占生放送した。

“夢の対決”効果で100万契約突破

 これが原動力となり、8月には日本での契約数が100万件を突破。Perform GroupでDAZN事業のCEO(最高経営責任者)を務めるジェームズ・ラシュトン氏によると、「詳細は明かせないが、契約数はその後も順調に伸び続けている」という。

 DAZNの大崎貴之バイスプレジデントは、好調の要因を「“夢の対決”目当てで入会したユーザーの退会率を、予想よりも低く抑えられたため。ユーザーの視聴履歴に関するビッグデータを取得・活用し、(格闘技ファンに)最適な番組のレコメンドを提供できたことが生きた」と説明する。

photo “夢の対決”も独占生放送した

新施策は“ファンファースト”がコンセプト

 突如として日本市場に参入し、Jリーグの放映権を競合の「スカパー!」から奪ったことから“黒船”とも称されるDAZNだが、18年はどのような戦略を用意しているのだろうか。

 ラシュトンCEOは「“ファンファースト”をコンセプトに、ユーザーの利便性を高めるさまざまな仕組みを用意した」と話す。

 その目玉となるのが、お気に入りのスポーツ番組をローカル環境にダウンロードし、好きなタイミングで視聴可能にする「ダウンロード機能」。時差や仕事の関係で、深夜のライブ中継や再放送を視聴できなかった社会人などに向けたサービスだ。

photo 新施策の目玉「ダウンロード機能」

 「通勤・通学中に、世界最高峰のサッカーリーグ『プレミアリーグ』『リーガ・エスパニョーラ』などの試合を楽しんでほしい」(ラシュトンCEO)

 このほか、ユーザーの好きなチーム・選手の情報を取得し、試合開始時や選手が活躍した際にプッシュ通知でお知らせする「フォロー機能」、データ分析による番組レコメンドの精度を高めた「パーソナライゼーション機能」――などを提供していく。

 ラシュトンCEOは「各機能の実装時期は未定だが、今後も継続的に投資してユーザーの満足度を高めたい。機能を充実させても、値上げの予定はない」と話した。

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