ネスレ日本は2月8日、訪日中国人観光客に向けた「ネスカフェ 和もてなし 無人カフェ」を2月9日から25日までの期間限定でオープンすると発表した。場所は東京・浅草にある商業施設「まるごとにっぽん」内だ。
人型ロボット「Pepper」が接客を担当する。利用者がPepperのタブレットを操作して注文すると、隣にあるIoT対応のロボットがコーヒーとチョコレート菓子「キットカット」を提供するという仕組みだ。言語はすべて中国語で、決済サービスは中国国内で最も普及しているAlipay(アリペイ)を使う。また、カフェ内ではネスカフェ製品をお土産として購入することもできる。
オープン期間は、中国の旧正月にあたる春節(2月15日〜21日)と重なる。利用者は、春節のお祝いの風習と連動した写真撮影・くじ引きのサービスも受けられる。
キャンペーンの狙いの1つは、「メイドインジャパンのネスカフェやキットカットを訪日中国人観光客に売り込むこと」と同社の島川基部長は解説する。
中国では、コーヒーを飲む習慣が広まりつつあり、コーヒー豆の輸入量も急激に増えている。同社の調べでは1997年から2017年にかけて輸入量は20倍に増えたという。
訪日外国人観光客の数は17年に過去最高の2869万人を突破した。観光庁によると、訪日客が日本で使うお金のうち約4割を中国人が占める。国内市場が縮小することが見込まれるなか、旺盛なインバウンド需要を取り込むための布石という位置付けだろう。
キャンペーンのもう1つの目的は、イベント運営で得た知見を国内の「家庭外ビジネス」に生かすことにある。
同社の商品は小売店を通じて家庭用に提供されるものと、飲食店などに提供されるものがある。後者が家庭外ビジネスとなる。
具体的には、コーヒーマシンを飲食店に無償で提供し、同社の商品を店で提供していることをメニュー表に記載してもらうモデルなどが該当する。消費者がネスレのコーヒーに触れる場を増やすことが目的だ。
島川部長は「国内の飲食店は外国人観光客への言語対応や決済方法などで課題を抱えており、解決方法について相談を受けることがある」と語る。課題解決の手伝いをすることで、間接的にビジネスにつなげようという狙いだ。
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