花粉症商戦本格化 トレンドは“やさしさ”女性と子どもの不安解消が鍵

» 2018年02月17日 08時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 日本気象協会の花粉飛散予測によると、スギ花粉のピークは2月下旬から3月、ヒノキ花粉のピークは4月だという。花粉症に悩まされる人にとってはつらい季節が近づいている。

 インターネット調査会社マクロミルは今年の1月に「全国の2万人に対し花粉症の症状の有無を尋ねたところ、症状があると回答した人は全体の40%」「スギ花粉対策の平均予算は4730円」という調査結果を発表した。この巨大な市場を狙った花粉症商戦が今年も盛り上がってきた。

photo 今年も憂鬱(ゆううつ)な季節が到来する(出所:マクロミル社プレスリリース)

 「花粉症関連商品のニーズは年々高まっています。今年は特に力を入れて売り場を展開していますよ」

 こう語るのは大手総合スーパー幹部のD氏だ。近年、各社は花粉症関連グッズのラインアップを年々充実させているという。総合スーパーの強みを生かしてマスクや防護メガネだけでなく、花粉がつきにくいコートや症状の緩和が期待できる飴などをまとめて並べている。「仕事の都合でマスクを着用できない」といったような、多様化するニーズに対応するのが狙いだ。

 大手ドラッグストアは専門知識を生かした提案を行っている。ココカラファインの担当者は「意外と知られていないのですが、本当に症状がつらいときや目がかゆいときには、内服薬を使用しながら目薬を使うこともできますし、鼻水が止まらないときには点鼻薬を併用することもできます。関連商品をまとめたコーナーをつくり、お客様の症状が軽くなるお手伝いをします」と説明する。

 ネットショッピングが普及したことで、リアルの店舗はより独自性を打ち出すことが求められている。小売り各社の対応にはこういった背景があるのだろう。

photo 花粉症コーナーを大々的に展開する(提供:ココカラファイン)

女性と子ども向けに商機あり

 ココカラファインの担当者によると、花粉関連商品では天然系で肌にもやさしい商品が特に人気があるという。代表格が資生堂薬品の花粉防御剤「イハダ アレルスクリーン N」と「イハダ アレスクリーンジェル N」だ。顔にスプレーしたり、塗ったりするだけで花粉とPM2.5が防げる利便性と、肌への負担の少なさが女性を中心に支持されている。

 資生堂薬品の広報担当者によると、アレルスクリーンシリーズは15年に発売してから好調が続いていて、17年のシーズンは売り上げが前年比108%を記録したという。

photo アレルスクリーンシリーズ(提供:資生堂薬品)

 子ども向けの花粉症対策商品では“安心”の要素が支持されている。あかちゃん本舗は17年に初めて花粉がつきにくい花粉対策ジャケットを発売した。好調だったので、今年も発売継続を決めた。子どもが花粉症になってしまったが、薬を飲ませることに不安を感じる親から支持されているという。

 東京都の調査では0〜14歳におけるスギ花粉症の推定有病率は増加を続け、16年度には約40%に達した。乳幼児の食物アレルギーが増加した結果、花粉症を併発しているのではないかと、東京都は分析する。子ども向けの花粉症対策グッズの需要は今後も高まるだろうが、いかに親の不安を取り除くかが鍵となりそうだ。

 花粉症の症状を緩和するグッズや医薬品は数多く出ているが、必ずしも女性や子どものニーズを満たしているわけではなかった。“安心”と“やさしさ”を打ち出す商品が今後支持されるだろう。

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