金融ビジネスを変革する フィンテック革命最前線
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» 2018年02月27日 17時00分 公開

ビジネスの有用性検証:量子コンピュータで株価を予測できるか 野村HDと東北大が実験

野村HDと東北大学が、量子コンピュータを活用した実証実験を行うと発表。膨大なデータを分析し、資産運用の成績向上に生かすという。当初は、最適なポートフォリオの組み合わせや、株価の変動を予測していく。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 野村証券の親会社、野村ホールディングス(HD)と東北大学は2月27日、金融とITを融合したフィンテック(FinTech)の分野で提携すると発表した。カナダD-Wave Systemsが開発した量子コンピュータ「D-Wave 2000Q(D-Waveマシン)」を活用し、さまざまなデータを分析して資産運用の成績を上げるための実証実験を進める。

photo 野村ホールディングス(HD)と東北大学が、フィンテック(FinTech)の分野で提携する

 量子コンピュータは、「0」と「1」という異なる状態が同時に出現するという、量子力学の「重ね合わせの原理」を計算プロセスに応用した点が特徴。膨大なデータを瞬時に処理し、複数の結果が生じる可能性がある場合は、それぞれの発生確率を算出できる。

 ただ、東北大学や東京工業大学を中心に学術的観点からの研究は進められているものの、ビジネスでの有用可能性は未知数なのが現状だ。

 実験で使用する「D-Waveマシン」は、2011年に史上初の商用量子コンピュータとして世に出たモデルで、現在もD-Wave社が改良を重ねている。実機の価格は数十億円に上るが、今回はクラウド上の計算機能のみ利用する契約という。

photo 実験で使用する「D-Waveマシン」

株価の変動などを予測

 実験では、第1弾として(1)複数の投資銘柄の中から最良のポートフォリオを選定する、(2)企業の株価の変動を予測する――の2点を実施予定。両者のビジネス・学術の知見を組み合わせ、量子コンピュータの有用性を検証していく。

 ポートフォリオ選定では、各種銘柄の売買コスト、リスク、想定されるリターンなどのデータを使用。株価予測では企業の財務データのほか、アナリストレポートなどのテキスト情報も使用する。ディープラーニングによってレポートの内容を学習し、アナリストの評価も判断材料に加えるという。

 野村HD 金融イノベーション推進支援室 室長の八木忠三郎氏は「当社のコンピュータでもこうしたデータの処理を行っているが、夜通し計算しても翌日に間に合わないのが現状。今後も金融商品の数は増えるため、多くの要素を並列的に分析できる量子コンピュータのスピードに期待したい」と話す。

 実験に協力する東北大学大学院 情報科学研究科の大関真之准教授は、「量子コンピュータは、複数の可能性にさまざまな計算式を当てはめ、正解を素早く算出できる点が魅力。株価などの金融商品は外的要因によって価値が一変するが、今回の実験では、状況が変化するたびにタイムリーな最適解を導き出したい」と狙いを語る。

photo 会見での大関氏=左、八木氏=右

 実証実験の期間は19年3月まで。両者は今後、トレーディング・各種リサーチ・リスク管理などに実験の幅を広げるほか、データサイエンティストの採用・育成に努めていくという。

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