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» 2018年04月02日 11時30分 公開

前進なければ死あるのみ:「ワイモバ」トップが熱弁 躍進の裏に“ウィルコムの教訓”あり (1/3)

「Y!mobile」は、なぜ競争が激化する格安SIM市場で勝ち続けるのか。その背景には、前身ブランド「WILLCOM」の失敗で得た教訓が生きているという。ウィルコムで要職を歴任し、現在はワイモバのトップを務めるソフトバンク寺尾洋幸執行役員に話を聞いた。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 格安SIM市場の中でシェアトップにいつづける、ソフトバンクのサブブランドMNO(移動体通信事業者)「Y!mobile(ワイモバ)」。通信品質の高さと価格の安さを両立している点が特徴で、近年は女優の桐谷美玲さんらを起用した大規模なテレビCMを展開。続々とユーザーを獲得している。

 躍進を続けるワイモバ事業のトップを務めるのが、ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 本部長の寺尾洋幸執行役員だ。寺尾氏はかつてPHSサービスを展開していたウィルコムで、マーケティング部門のトップや執行役員を歴任した経歴を持つ。

photo ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 本部長の寺尾洋幸執行役員

ウィルコムは2010年に破綻

 ただ、ウィルコムのPHSは破格の料金プランで人気となったものの、携帯電話事業者(キャリア)や競合との競争に屈し、2010年に経営破綻。同年に支援に名乗り出たソフトバンク(SB)の子会社となった後、14年にグループ内のイー・アクセスと合併。PHSサービスのみを残し、法人としては消滅した。

 ワイモバは14年8月、イー・アクセスとウィルコムのPHSブランドを統合する形で誕生した。寺尾氏はソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長からワイモバを任され、その成長を一身に担ってきた。

その後、格安SIM市場には新たなプレイヤーが次々と参入。競争は激化の一途をたどるが、ワイモバは市場で確固たる地位を築いている。ワイモバはなぜ、厳しい環境で生き残ることができているのか。ウィルコムでの経験は、どのような形で今に生かされているのか。寺尾氏に話を聞いた。

photo WILLCOM向けに開発され、人気を呼んだ端末「HONEY BEE」シリーズ(京セラのプレスリリースより)

前進なければ死あるのみ

 「ワイモバは、回遊魚のサメやマグロと同じ。常に前進しなければ死んでしまう」――開口一番、寺尾氏はこう話した。

 「ウィルコム時代に人気が出たプランは、他社がこぞって取り入れ、プラスアルファを付けて展開した。その結果ユーザーが流出し、経営が苦しくなった。この経験から、いったん成果が出ても、陳腐化する前に次の手を打たないと競合にやられることを学んだ。ワイモバでも気を抜くわけにはいかず、『勝った』とは一切思っていない」(寺尾氏)

 ワイモバ誕生後も、ブランド誕生時から続ける、データ容量をS・M・Lの3種類に絞った「スマホプラン」を他社が取り入れるケースが続出。現時点では、14年10月にスタートした楽天のMVNO「楽天モバイル」や、14年12月に立ち上がったKDDIのサブブランドMVNO「UQ mobile」が類似した料金プランを設けている。

学割サービスにも他社が追随

 17年12月には、学割サービス「タダ学割」を例年よりも一足早くスタートした。他社からのMNP(番号ポータビリティ)などによって新規契約を結んだ5歳〜18歳のユーザーを対象に、各プランの基本料金を3カ月間無料とするもので、発表後は開始時期の早さと割引率の高さから大きな反響を呼んだ。

 すると「タダ学割」開始から1週間で、UQ mobileがすぐさま同様のサービス「UQゼロ学割」を開始。他社がワイモバの施策に追随する流れはいまも続いている。

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